高知県で1日に300ミリ以上の大雨を観測

気象庁の観測によると、高知県香美市繁藤(かみししげとう)では2026年4月4日に24時間で331ミリの雨を観測しました。
(参考資料 : 高知県繁藤の観測気象データ(気象庁))
これは1976年の統計開始以降歴代10位の記録です(2026年5月現在)。
1時間最大降水量は98ミリで歴代4位の大雨となりました。
この大雨は、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだことに加え、その空気を下層から上層まで持ち上げる環境が重なったことで発生したと考えられます。

850hPa高層天気図と地上天気図から暖湿気の流れ込みを見る

下の天気図は、2026年4月4日15時の850hPa高層天気図と同時刻の地上天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使用して描画。前線の描かれた地上天気図は気象庁の速報天気図)
850hPa天気図では、相当温位330K前後の暖かく湿った空気が高知県に流れ込んでいたことが確認できます。
2026年4月4日15時の850hPa天気図
気象庁の地上天気図では、山陰沖に低気圧があってそこからのびる前線が四国にかかっていました。
四国付近には閉塞点も解析されています。
2026年4月4日15時の気象庁天気図
可降水量を描画した地上天気図(数値予報天気図)を見ると、高知県では可降水量が40ミリ前後まで増加していました。
これは大気中に多くの水蒸気が存在していたことを示しています。
2026年4月4日15時の地上天気図

925hPa天気図から下層の収束と上昇流を確認

下の天気図は、2026年4月4日15時の925hPa高層天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使用して描画)
矢羽は風向・風速を示しており、色は空気の収束を表しています。
赤色は強い収束を意味します。
2026年4月4日15時の925hPa天気図
925hPaでは、南寄りの強風が高知県付近で収束していたことがわかります。
空気が収束すると行き場を失った空気が上昇するため、上昇気流が発生しやすくなります。
さらに、海上から流れ込んだ湿った空気が山地にぶつかることで、山の斜面に沿って空気が持ち上げられる地形性の上昇流もあったと考えられます。

500hPa天気図から中層の大気不安定場を確認

下の天気図は、2026年4月4日15時の500hPa高層天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使用して描画)
黒実線はジオポテンシャル高度、色は渦度を表しています。
暖色系ほど正渦度が強い領域です。
2026年4月4日15時の500hPa天気図
500hPaでは、九州西方にトラフがあり、その前面にあたる西日本付近では正渦度域が広がっていました。
高知県付近は「正渦移流域」となっており、上空へ向かう流れが強まりやすい場になっていました。
正渦移流域では大気の上昇運動が発生しやすく、対流雲の発達を助けます。
このため、高知県周辺では雨雲が発達しやすい気象条件が整っていました。

250hPa天気図から上層の発散場を確認

下の天気図は、2026年4月4日15時の250hPa高層天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使用して描画)
緑色の実線と点線は等風速線を示しています。
九州から山陰にかけては風速の強い領域があり、ジェットストリークに対応していました。
2026年4月4日15時の250hPa天気図
ジェットストリーク周辺では、位置によって上空の空気が発散しやすくなります。
特に「入口右側」と「出口左側」では発散が強まりやすいことが知られています。
高知県付近はジェットストリークの入口右側に位置しており、上空で空気が発散しやすい場となっていました。
上空で空気が発散すると、それを補うように下層から空気が持ち上げられるため、対流活動がさらに強化されたと考えられます。

高知県で大雨となった要因まとめ

2026年4月4日の高知県では、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が強風によって運び込まれていました。
さらに、
・下層では風の収束や地形性上昇
・中層では正渦移流による上昇流
・上層ではジェットストリークによる発散
といった、下層から上層まで上昇流を強化する条件が重なっていました。
その結果発達した雨雲が形成され、高知県香美市繁藤では1時間で98ミリ、3時間で204ミリもの雨が降りました。
2026年4月4日12時から15時の解析雨量

(2026年4月4日12時から15時の解析雨量。気象庁HP「今後の雨」から抜粋)