天気予報用語の一覧
気象庁発行の資料を基に作成した気象用語のノートです。
学習したことを再確認するために整理しました(内容には解釈を含みます)。
下の灰色のボタンで内容の絞り込みができます。
ざっくり解説
天気予報の勉強をすると出てくる用語をざっくり解説しています。
数値予報モデル
予報のための計算プログラム。
コンピュータ上に地形や大気の状態を再現し、大気の状態の変化を計算する。
どこまで精密に再現できるかはコンピュータの性能や観測の精度・頻度・密度、予測のための計算方法などによって変わる。
GSM(全球モデル)
Global Spectral Model
気象庁の数値予報モデルの一つ。
名前の通り地球全体の大気の流れを予測する。
台風・低気圧・高気圧やトラフ・リッジの動きなど比較的大きな現象を見るときに重宝する。
"Spectral"は物理量(気温・風速など)の空間分布を様々な波(スペクトル成分)に変換して計算する「スペクトル法」から。
格子点を使った計算も行うため、GSMはハイブリッドなモデル。
MSM(メソモデル)
Meso-Scale Model
気象庁の数値予報モデルの一つ。
GSMと比べて分解能が高く、地形の再現度も高い。
日本の今日明日の予測が得意。
Meso-Scale(メソスケール)は集中豪雨や積乱雲などを引き起こす現象のサイズ。
(台風や高気圧・低気圧などはこれより大きい総観スケール)
MSMはGSMと違いスペクトル法を使わない格子モデル。
ガイダンス
気象庁が数値予報モデルの出力を基にして統計的手法などで補正した予測値。
ECMWF(欧州中期予報センター)
23か国の加盟国と12か国の協力国による国際的な組織。
台風など大きな現象の予測精度は世界トップクラス。
(日本国内で地形の影響を受けやすい小規模な現象は、気象庁のMSMの方が表現できていることも多い)
HRES(High Resolution Forecast)
高分解能で計算する数値予報モデルを使った予報。
分解能は計算の細かさ。
HRESは単一モデルで計算結果は1通り。
(対してアンサンブル予報は数十通り計算する)。
数値予報モデルでは、地球上の大気をみじん切りのように細かく分けて計算する。
みじん切りの細かさが分解能に対応する。
大気を細かくたくさん分けて計算するほど高分解能。
高分解能になるほど地形や小さな気象現象の表現力が高くなる。
ただし高分解能になるほど計算に時間がかかる。
(性能の低いコンピュータでは1日先を予測するのに2日以上かかるようなことになる)
ENS(アンサンブル)予報
モデルに入力する初期値(最初のデータ)を少しずつ変えて何通りも計算する手法。
計算結果が全く違ったり似た予想になったり、結果に幅がある。
天気予報が外れる原因の一つに、初期値が正しくない事(正しい値を知る術がない事)が挙げられる。
アンサンブル予報では初期値の誤差が予測結果にどの程度の影響があるのか確認できる。
(いろいろな角度から似た質問をして、答えがぶれない人は信用度が高い。そんなイメージ)
ECMWFのアンサンブル予報(気象庁のENSも基本的な手法は同じ)
ENS Controlは、分解能の高いHRESに対して分解能を落としたアンサンブル予報のメインとなる予測。
(分解能を落とすと予報精度が落ちる代わりに計算が速くなる)
このControlのほかに初期値を少しだけ変更した50通り(計51通り)の計算結果を使う。
1つ1つの精度はHRESに劣るが、51通りの予測結果の誤差幅を使って確率予報ができる。
initial(初期値)
コンピュータで計算を開始する時点のデータ。
天気予報では解析値(観測結果などを基に今の状況を推測した値)を使う。
(イメージ)
100万円を変動金利で銀行から借りると返済額が105万円なると予想。
100万円が初期値。変動金利を使った計算式がモデル。
(気象の場合初期値が正しいとは限らないうえ、初期値が変わると途中経過も変動して結果がブレやすい)
UTC(協定世界時)
例)00UTC, 12UTC
英語の気象資料はだいたい協定世界時。
日本時間とは9時間の時差がある。
00UTCは日本時間午前9時、12UTCは午後9時。
(00Zも00UTCと同じ時刻を表す)
PoP(降水確率)
日本の気象庁では1ミリ以上の雨が降る確率。
今日や明日の天気は6時間で1ミリ以上降る確率、週間天気予報では1日に1ミリ以上降る確率。
1時間に1ミリ降るとしっかり濡れる。
ぱらぱら降る弱い雨や雨粒の細かい霧雨は1ミリに届かない事も多い(降水確率に含まれない)。
okta
雲の量を0~8の9段階で表現した単位。
8は空が雲に覆われた状態。4は空の半分に広がった状態。
航空業界でよく使われている。
大気の状態が不安定
「不安定」にはいろいろな種類がある。
テレビで言われている「不安定」は「潜在不安定」が多い。
雷注意報
雷注意報が出ている日は、降水確率が10%でも急に土砂降りになることがある。
雷注意報にはグレードがある。
気象庁のホームページで雷注意報を詳しく確認すると、通常は「突風」と表示される。
時々「ひょう」や「竜巻」と表示されることがある。
「突風」よりも「ひょう」や「竜巻」の方が土砂降りになる可能性が高い。
気象レーダー
電波を使って半径数百kmの雨や雪を観測する。
低い所にある雨雲を観測できないこともある。
レーダー画像と雨の位置は完全には一致しない。
Xバンドレーダー
気象レーダーの一種で性能がいい。
観測できる範囲は狭く、半径80km程度。
最大風速
「最大瞬間風速」とは違い、10分間の平均風速の最大値。
単位は通常メートル(m/s)。船や飛行機の速度はノット(knot = NM/h)をよく使う。
10m/s = 36km/h ≒ 19.4ノット(NM/h)。NMは海里。
5m/sの風でもタオル飛ばされがち。8m/s以上になると結構体持っていかれる。
風力階級
風力 m/s ノット
0 0.0〜0.2 1未満
1 0.3〜1.5 1〜3
2 1.6〜3.3 4〜6
3 3.4〜5.4 7〜10
4 5.5〜7.9 11〜16
5 8.0〜10.7 17〜21
6 10.8〜13.8 22〜27
7 13.9〜17.1 28〜33(海上風警報)
8 17.2〜20.7 34〜40(海上強風警報)
9 20.8〜24.4 41〜47(海上強風警報)
10 24.5〜28.4 48〜55(海上暴風警報)
11 28.5〜32.6 56〜63(海上暴風警報)
12 32.7以上 64以上(海上暴風警報や海上台風警報)
オイラーとラグランジュ
流体の運動を観測する2種類の方法。
オイラー的方法では定点で流速や圧力などを観測する。
ラグランジュ的方法では流れとともに移動する流体の小さな塊を追いかけながら観測する。
台風の強さと大きさ
強さは最大風速で決まる。
強い: 33~43m/s(64~84kt)
非常に強い: 44~53m/s(85~104kt)
猛烈: 54m/s以上(105kt以上)
大きさは強風半径(15m/s以上の半径)で決まる。
大型(大きい): 500~799km
超大型(非常に大きい): 800km以上
特別警報の目安
930hPa以下または50m/s以上
(沖縄・奄美・小笠原では910hPa、60m/s)
気象庁の台風情報が更新されるタイミング
5日先の予報まで更新される時間(括弧内は更新が遅い場合*)
03:50(~04:30)
09:50(~10:30)
15:50(~16:30)
21:50(~22:30)
1日先の予報まで更新される時間
00:50(~01:30)
06:50(~07:30)
12:50(~13:30)
18:50(~19:30)
通常は台風の解析から予報発表までにかかる時間は50分くらいです(数分の誤差はあります)。
*台風が複数ある場合、優先順位に応じて予報が発表されるため90分後になることもあります。
台風が日本に近づくと中心位置と1時間後の予想が1時間毎に更新されます。
参考:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/7-1.html
藤原の効果
2個以上の台風があるとき、それぞれの台風の流れによりお互いに流され、反時計回りの運動をする。
マニアック
使いこなせるとかっこいいマニアックな解説を含みます。
簡潔にするため専門用語の解説を省略しているところがあります。
衛星画像(ひまわり)
東経140.7度の赤道上の静止衛星から見た画像。
極に近づくほど解像度が低下する(九州付近で2割減)。
雲頂の高い雲は位置がずれる(視差)。
視差
日本では、衛星で観測された雲画像より南側でレーダーの強雨が観測されることがある。
ひまわりは赤道上から観測しているため、そこから離れた地点で観測された雲は実際の場所からずれて見える。
九州上空の高さ10kmの雲は5~10kmほど北または北北西にずれて見える(実際には南または南南東にある)。
北海道では10km以上北にずれて見える(実際には南にある)。
VIS / VS(衛星可視画像)
解像度0.5km
赤外画像では見えない下層雲や霧が見える。
夜は真っ暗で使えない。
IR(衛星赤外画像)
解像度2㎞
温度の低い所が明るく見える。
上層雲や厚い雲は白く、中層以下の雲や薄い雲は暗く見える。
昼夜を問わず使える。
WV(衛星水蒸気画像)
水蒸気が多いほど白く映る。
350hPaが感度のピーク。
昼夜を問わず使える。
トラフ、上層渦、ジェットの解析に使える(例: ジェット南端にシーラスストリーク)。
高渦位域と水蒸気画像の暗域は対応が良い(高渦位なら暗域として見えるが、暗域(乾燥域)が高渦位とは限らない)。
上層の水蒸気画像(バンド8)で見る
成層圏・上部対流圏起源の乾燥空気の沈降が暗域として見える(例: ハンマーヘッド)。
低気圧に伴う雲域のバルジは、トラフ前面のリッジ付近の力学的圏界面上昇域に対応する。
(潜熱加熱による圏界面の持ち上げが起こっていることを示唆している)
中層水蒸気画像(バンド10)は500hPa付近の湿度に対応し、乾燥していると対流が抑制される。
ホドグラフの見方
暖気移流の時、下から上に行くにつれて風向が時計回りに変化する(温度風で説明できる)。
0~3㎞が時計回りで風速が大きければSReHも大きい。
寒気移流の時(冬型の気圧配置の時など)は反時計回り。
熱力学の断熱と非断熱
断熱:外部との熱交換がない
例:空気塊の圧縮と膨張による温度変化
断熱圧縮で温度が上がり、断熱膨張で温度が下がる
非断熱:外部との熱交換がある
加熱:日射、凝結(潜熱)、摩擦
冷却:放射冷却、蒸発・昇華(潜熱)
両方:顕熱輸送(地面と大気の熱交換)
顕熱フラックス
温度差によって起こる熱エネルギーの流れ(単位時間・単位面積あたりの熱エネルギーの通過量)。
例:地面と空気の温度差によって、熱が対流や乱流で移動する量。
温位
空気塊を断熱的に1000hPaまで移動させた時の温度。
温度と位置エネルギーを温度によるエネルギーで表したもの。
温位や気温で前線解析をする際の注意点:
温位は乾燥断熱的な運動の時のみ保存され、潜熱の解放により変化する。
フェーン現象などで前線とは無関係な温位勾配が生じうる。
相当温位
空気塊の全ての水蒸気を凝結させて潜熱を全放出させたあと、断熱的に1000hPaまで圧縮した時の温度。
温度と位置エネルギーと水蒸気のエネルギーを温度によるエネルギーで表したもの。
大雨の目安やエマグラムで不安定の度合いを見る際にも使う。
前線解析に使われることも多い。
相当温位で前線解析をする際の注意点:
暖気側が乾燥していると解析しにくい。
湿潤断熱的変化では保存するが、顕熱フラックスや放射加熱などでは変化する。
前線の暖域内で温暖コンベヤーベルトによる水蒸気傾度が前線的に見える。
湿度勾配によって相当温位の勾配ができることがある。
飽和相当温位
空気が飽和していると仮定したときの相当温位。
飽和相当温位は水蒸気のエネルギーも含むポテンシャル的な暖かさの指標。
飽和相当温位の鉛直分布は湿潤対流の安定性の評価に使われる。
断熱冷却で気温が下がった場合:
温位より飽和相当温位の方が大きく低下する。
湿度が上昇するため、飽和相当温位のプロファイルが相当温位のプロファイルに近づく。
温位エマグラムでの飽和相当温位
中層に寒気が流入すると、飽和相当温位が低くなり温位エマグラムでは左にずれる。
(中層に寒気が入るとより不安定になり、暖気が入ると不安定が緩和される)
空気塊を持ち上げた時、最初に飽和相当温位と交差する点が自由対流高度(LFC)、2回目に交差する点が平衡高度(EL)
FLWV(水蒸気フラックス)
単位面積・単位時間あたりに通過する水蒸気量。
FLWV=300で厚さ1km: 幅10㎞に雨を降らせると100mm/h
FLWVの差の大きい所(収束する所)で大雨となる。
降水をもたらす水蒸気の流入は500m前後の高度で見るのが適切。風向と合わせて確認する。
(海面付近は海水温の影響を受け、850hPaでは高度が高すぎる)
豪雨発生目安: 250g/m2s(+相当温位350K以上)
(梅雨末期~夏季の大雨発生目安:500m高度で相当温位355K)
TPW(可降水量)
地表から上空までの全ての水分が落下すると仮定した降水量。
単位はkg/m2。(mmで表されることが多い)
梅雨前線帯は可降水量と対応が良く、60〜70mmが目安。
標高の高い所では値が小さくなるため注意が必要。
(東西にのびる可降水量の大きな領域の、南縁付近で大雨となりやすい)
豆知識:飽和水蒸気量は+1℃で+7%、+10℃で2倍弱(目安)。
比湿・混合比
比湿 : 水蒸気の質量 / 水蒸気を含む空気塊の質量
混合比 : 水蒸気の質量 / 水蒸気を含まない空気塊の質量
混合比の方が比湿よりわずかに大きい。差は通常3%以下。
混合比や比湿は空気塊の断熱変化で保存する。
シーダフィーダ
上空から落下した粒子がその下にある層の粒子と作用して降水を強化する。
冬季の日本海側や温帯低気圧の北側の雲で見られる。
例: 南岸Lから広がった8~12㎞の上層雲と暖湿気の強制上昇による2~4㎞の下層雲。
乾燥貫入
中層の乾燥空気の下では対流が抑制され雨は降りにくくなるが、その先端で対流が発達することがある。
乾燥した空気が滑昇(緩やかに斜めに上昇)しながら近づいてくるとき、上昇した空気は低温化する。
低温化した空気は重くなる。
斜めに上昇して低温化した空気が重くなった時、その下にある空気の方が軽いと上下の空気が入れ替わろうとする。
その結果対流が起こる。
もともと下にあった暖かい空気が湿っていた場合、上昇して飽和すると相対的に暖かくなるためさらに上昇する。
その結果対流が強まり急に土砂降りになることがある。
中層の低温化を見るには、断面図で等温位線の傾きと風向きを見て斜めに上昇するか確認する。
次に中層の平面図で上昇流域の気温が周囲より低くなっていることを確認する。
(上層)トラフとリッジ
トラフ軸は正渦度極大域になりやすい
(相対渦度は曲率渦度とシアー渦度に分けられ、トラフに対応するのは曲率渦度。必ずしもトラフと渦度は対応しない)
偏西風帯では正渦度域の東側が正渦度移流域。下層で上昇流を励起する。
(トラフ前面は正渦度移流域で上昇流が励起され、地上低気圧が発達する)
トラフ後面が負渦度移流で下降流が励起される。
正渦度と負渦度の境目(渦度0線)付近が渦度移流の極大域になりやすい。
上層トラフの前面は発散場となり、その下層で上昇流が励起される。
寒気を伴ったトラフが接近すると、トラフ前面には湿潤域が広がり、寒気の流入で成層状態が不安定となる。
正渦度移流域ではジオポテンシャルが下降、負渦度移流域ではジオポテンシャルが上昇する。
⇒ トラフが移動する
ジェットストリーク出口がトラフの場合、トラフが深まる。
ジェットストリーク入口がトラフの場合、トラフは浅くなる。
寒気移流の上では低圧化し、下では高圧化する(層厚が減少。上のトラフは強化され、地上気圧は上がる)。
暖気移流の上では高圧化し、下では低圧化する(層厚が増大。上のリッジは強化され、地上気圧は下がる)。
中緯度でトラフの西側にサーマルトラフがずれていれば(西側に寒気の中心)、そのトラフは強まる。
低気圧の発達期には上層トラフは地上低気圧の西側に位置し、トラフの軸が上層ほど西に傾く状態。
対流圏内の低気圧・高気圧
台風:地上は低気圧、上層はリッジ。対流圏下層から上層まで暖気。
暖気核の低気圧は下層で風が強い。
太平洋高気圧:地上は高気圧、上層は強いリッジ。下層から上層まで暖気。
移動性高気圧の西半分も(西側の低気圧に伴う暖気移流と上層リッジの発達による)
上層寒冷渦、閉塞期の温帯低気圧:地上は低気圧、上層は顕著なトラフ。下層から上層まで寒気。
低気圧の上空にはどこかに密度の低い空気(暖気)がある。
上層寒冷渦の上には暖気がある。
寒気核低気圧は上層で風が強い。
オホーツク海高気圧:地上は高気圧、上層はトラフ。下層から上層まで寒気。
移動性高気圧の東半分も(東側の低気圧に伴う寒気と上層トラフによる)
長波長トラフとリッジ
500hPa天気図を北極中心に見た時、3波程度で波数が少ない(波長が長い)トラフ/リッジ。
波動の移動が遅く、一週間以上の天気傾向を支配する。
短波長トラフとリッジ
500hPa天気図を北極中心に見た時、7波程度で波数が多い(波長が短い)トラフ/リッジ。
波動の移動が速く、数日程度で天気変化する。
ロスビー波
地球の自転によるコリオリ力が緯度によって異なることで生じる波。
ロスビーは発見者の名前。
ベータ効果を復元力とする波。
蛇行するジェット気流はロスビー波。
西風が強いとトラフ・リッジの位相速度も速くなる。
波長が短いと相対渦度の移流が惑星渦度の移流より大きく、波動は東に進む(偏西風帯の場合)。
波長が長いほど惑星渦度の移流の影響が大きくなり、波動の東進は遅くなる。
さらに波長が長くなると西進する。
ロスビー波と同じ原理で台風は西進する(台風の西側が正の渦度、東側が負の渦度となる)。
ベータ効果によるロスビー波の西進
トラフの西側は南下する流れで惑星渦度が減少し相対渦度が増大する → トラフが形成される
リッジの西側は北上する流れで惑星渦度が増加し相対渦度が減少する → リッジが形成される
⇒ 結果、位相が西進する
非断熱ロスビー渦/波(DRV/DRW)
メソスケールの下層渦位偏差が中緯度傾圧帯に達すると、活発な対流を伴いながら素早く東進する。
上層トラフやジェットとの相互作用で低気圧として発達することもある。
強雨と南寄りの下層ジェットを伴う。
可能性として考えられる例:
・梅雨前線上の小低気圧
・温帯低気圧化する台風の北東側で前線上を進む小低気圧
・中国大陸に上陸して衰弱したあと、前線上を進む熱帯低気圧の位相
絶対渦度
相対渦度と惑星渦度(コリオリパラメータ)の和。通常極ほど大きい。
慣性安定度の指標。通常対流圏では正。
(中緯度の惑星渦度は10-4/s。これより小さな負の相対渦度(例えば-120×10-6/s)は総観規模現象より小さなスケールが影響していると考える)
負で慣性不安定。その中立化の過程で慣性重力波が発生し、CATが発生する可能性がある。
北半球では、強風軸の右側では相対渦度がある程度小さくなると慣性不安定になり、水平混合が生じる。
一方で強風軸の左側は常に慣性安定のため、湿潤空気と乾燥空気の水平混合が起こりにくい(強風軸の左側に明瞭な暗域ができる)。
静的安定度が小さいと鉛直運動が起きやすい。
慣性安定・慣性不安定
慣性安定性は流体に乱れが加わった時に乱れが増幅と収束のどちらに作用するかを表す。
慣性安定性が高い場合、元に戻ろうとする。
慣性安定性は水平方向の安定性。
ジェット気流や対流に重要な理論。
絶対渦度0未満で慣性不安定。
慣性不安定が起こりやすい場所
強い低気圧性循環の周辺
西風ジェット気流の南側(北半球)
熱帯サイクロンの外縁
慣性安定度が小さいほど水平方向の運動(流入/流出)が起きやすい。
慣性安定度には惑星渦度が関係。低緯度ほど惑星渦度が小さいので環境場の慣性安定度が小さい。
ジェット気流の極側は慣性安定。
強風軸の左側は慣性安定なため、湿潤空気と乾燥空気が合流しても水平混合が起こりにくい。
→ 低気圧や前線に伴う上層雲の北側の暗域が明瞭になる
対称安定
対称安定性は斜め方向の安定性。
鉛直方向の静的安定性と水平方向の慣性安定性を組み合わせた概念。
傾いた面(傾斜した当温位面)に沿って大気が動く場合の安定性を評価する。
対称安定の時、大気は静的安定で慣性安定で傾いた当温位面に沿った動きに対して安定。
静的安定で対称不安定な状況もある。斜めに上昇する気流が発生する。
例:前線帯の降水バンド。ジェット気流付近の雲バンド。
安定成層で前線強化によって斜めの上昇流が起こると層状雲が発生する(古典的な温暖前線のイメージ)。
対流不安定な成層の空気が持ち上げられれば対流雲が生じる。
(例:暖域内の孤立した対流)
渦度(相対渦度)
地面に相対的な渦度。
「渦度」とだけ言われるときはだいたい相対渦度の鉛直成分のことを指す。
低緯度に渦が移動すると、コリオリパラメータが小さくなる分、相対渦度が強まる(絶対渦度が保存)。
北半球ではトラフは正の相対渦度、リッジは負の相対渦度(曲率渦度)。
相対渦度=曲率渦度+シアー渦度
500hPaの正渦度域はポテンシャル高度が相対的に小さい領域なので、上層に気温が高く層厚が大きい気団があることを反映している。
500hPa面渦度は、それより上層から下降する高渦位の反映。
高渦位空気が成層圏から下降すると、渦位は保存するが対流圏内で安定度が低下し渦度が増大する。
上層でトラフ・リッジの振幅が増大すると、500hPaでは渦度移流が増大して地上低気圧が発達する。
注意: 対流圏内の非断熱加熱によりメソスケールの正渦域ができることがある。
これはすでに起こっている悪天の結果で、悪天の要因として考えてはいけない。
惑星渦度とβ効果
惑星渦度は地球の自転による渦度。
惑星渦度は緯度のみに依存し、緯度が高いほどコリオリ力が強くなる。
ベータ効果は惑星渦度の南北移流。
ベータ効果は緯度によるコリオリ力の変化(赤道で0、極で最大)による
台風の移動にも影響する。
β効果により、南下する谷は強まり、北上する谷は弱まる傾向がある。
絶対渦度 = 相対渦度 + コリオリパラメータ
北から南に渦が移動すると、コリオリパラメータが小さくなる。
絶対渦度が保存されると、相対渦度が増加する(相対渦度をもつ空気が南下すると、相対渦度は増加する)
βドリフト:北と南でコリオリの力の強さが違うために、一定の方向(北半球の台風は北西)にずれる現象。
環境場の流れが小さい時、ベータ効果により渦の移動に偏りが出るため、北半球では台風は北西に進む。
ベータドリフトによる移動速度は秒速2~3m程度と考えられ、影響は小さい。
台風の動きは太平洋高気圧縁辺の風など環境風の影響が大きく、ベータドリフトの効果がどの程度あるのか分析できない。
渦位(PV)
単位はPVU(10-6K・m2/kg・s)
温位座標系では、渦位は鉛直安定度×絶対渦度に比例する。
大気は基本的に静的安定かつ慣性安定なので、渦位は北半球で正、南半球で負となる。
渦位を使うと成層圏や上部対流圏起源の擾乱を理解しやすくなる。
渦位の性質:断熱の時、渦位は等温位面上で保存される
(500hPa面の渦度と比べて保存性が高く、数値モデルで予報しやすい)
等温位面上では渦位、等気圧面上では渦度が見やすい。
(渦位や渦度の解析は総観スケールで見る。メソスケールで追いかけない)
等圧面上の絶対渦度は収束・発散がない時に保存する(対流現象があると相対渦度が変化する)。
相対渦度は収束・発散がなく南北移動がない(コリオリパラメータが変化しない)時に保存する。
非断熱加熱があると渦位は保存されない。
非断熱加熱がある層の下では渦位が増大し、上では減少する。冷却の場合は逆。
(加熱域の下では安定度と渦度が増大し、上では安定度と渦度が減少する)
水蒸気の凝結による加熱によって、下層で高渦位の空気が見られることがある。
成層圏起源ではないため、力学的圏界面の解析では除外して考える。
渦位の再配置:渦位の分布の変化
(非断熱加熱/冷却のある高度の上下で渦位の時間変化が逆になる)
等渦位面解析
高度の異なる亜熱帯ジェットと寒帯前線ジェットを1枚の図で把握できる。
ただし、圏界面が折れ込んでいると1地点に複数の1.5または2PVU面が解析される。
温位・気圧の水平傾度が大きい所の暖気側にジェット気流が位置する。
上部対流圏の風速極大は力学的圏界面(例えば2PVU面)の傾きが大きい所に見られる。
渦位の傾きが大きい所にジェット気流が対応する。
目安として200hPa付近の傾きが大きい所に亜熱帯ジェット、300hPa付近に寒帯ジェットが対応する。
力学的圏界面は1.5~2.0PVUの等渦位面。
絶対渦度は極ほど大きく、大気の安定度は成層圏で大きい。
成層圏は渦位の絶対値が大きい(2PVU以上)
対流圏は渦位の絶対値が小さい(2PVU以下)
(圏界面は気温減率で定義され、力学的圏界面はそこに渦度(水平シア―)が加わる)
不安定度の確認:等温位面上の高渦位域の進行方向前面で大気中層の気温低下や湿潤化が起こり、成層が不安定化する。
圏界面付近の渦位偏差の進行方向前面では、温位線が対流圏中層を中心に盛り上がり等温位面上を滑昇する空気が断熱冷却で低温化する。
上空の高渦位域(寒冷渦)が低緯度に移動した場合:
⇒ 対流圏界面付近を中心に低気圧循環が生まれる。
⇒ 低気圧循環が上下方向に波及し、対流圏内でも低気圧性循環が生じる(絶対渦度が大きくなる)。
⇒ 対流圏中下層では、渦位偏差が存在しないため絶対渦度が大きくなった分だけ大気の安定度が低下する。
= 温位の等値線の間隔が広くなる。
⇒ 地表面の温位に変化がなければ、温位線が対流圏中層を中心に盛り上がる。
⇒ 断熱空気は等温位面上を移動するため、等温位線が盛り上がった領域で上昇流となる。
⇒ 断熱冷却により気温が低下する。
さらに、
高渦位域前面では低気圧性循環により南からの暖気移流が強まり、大気の状態が不安定になる。
(高渦位域の後方では北から乾燥空気が流入し、対流が抑えられる)
断熱では温位が保存される(等温位面上での渦位の保存に対応)。
非断熱加熱があると、等渦位面が持ち上げられる(等渦位面の温位が増大、気圧が減少)。
移流では説明できない温位の増大/気圧の減少(=等渦位面・力学的圏界面の持ち上げ)は、対流圏での大規模な非断熱加熱を示唆する。
力学的圏界面の持ち上げ ⇒ リッジ強化 ⇒ 上層波動の振幅増大 ⇒ 渦度移流の増大 ⇒ 低気圧の発達
等渦位面のトラフ前面(リッジ域)では温位が高い。暖気移流に加えて大規模な雲域の凝結による非断熱加熱の影響が考えられる。
成層圏が沈降すると渦位が大きくなり低気圧発生に寄与する。
力学的圏界面の折れ込みの位置では強い沈降のため高温偏差となる。
⇒ その前面では暖気移流となる。
⇒ 上空の暖気移流が上昇流を励起する。
⇒ 下層の暖気移流・上昇流域と重なると低気圧が発達する。
高渦位空気が西方上空(成層圏や上部対流圏)から下降すると、中層の渦度が増大し西風が強まる。
⇒ 下層前線上空で中層の西風が強いと、中層の低相当温位空気が下層の前線に先行する。
⇒ 対流不安定成層ができる。
⇒ 乾燥した低相当温位空気がさらに東進すると、暖域~温暖前線付近で上昇して不安定が顕在化する。
⇒ 不安定が顕在化して断熱加熱が顕著となった場所の上空は渦位が減少する。
⇒ 上層のリッジが強化される。
Rossby depth
渦位偏差の影響が鉛直方向に及ぶ距離
H = fL/N
f: コリオリパラメータ(≒10-4/s)
L: 水平スケール
N: ブラント-バイサラ振動数(乾燥大気なら10-2/s)
Lが1000kmならHは10km(総観規模の圏界面の擾乱は地表付近まで影響する)。
水平スケール100kmならHは1km(メソスケールの擾乱は鉛直方向にさほど影響しない)。
鉛直安定度が小さいときはNが小さくなり、影響が及びやすい。
湿潤大気は乾燥大気よりNが小さく安定度が小さい。
ジェット気流
目安は80kt以上(明確な基準はない)。
直線的なジェット気流では渦度0線が強風軸に対応しやすい。
(ジェット気流が蛇行しているときは渦度0線とずれやすい)
ジェット気流は場所も高度も変わるため、200~300hPa天気図を使い分ける必要がある。
風が加速するときは低圧側に高度線を切る(等高度線を切って風が吹く所は発散)。
減速するときは高圧側に高度線を切る。
(通常ジェット気流はあまり等高度線を横切らない。温度線を大きく切ることもない)
Jp(寒帯前線ジェット気流)
軸の目安は300hPa前後(水蒸気画像と対応がいい)。
南北の温度差による温度風の積算でできる。
傾圧不安定波動によって生じた大規模な渦運動によって強化される。
フェレル循環の北側/極循環の南側にある。
(フェレル循環は下層では南西風で暖気が北上し、上層では北西風で寒気が南下する温帯低気圧に関連した流れ。閉じずにループする流れ)
古典資料では下層から上層まで南北に温度差があるが、実際には下層まで繋がっていないことも多い。
上層と下層に別々の前線ができ、時間によって繋がる形になることもある。
(上層ジェット気流と下層前線は異なるメカニズムで強化/衰弱し、それに伴う温度風バランスの崩れが擾乱の発生要因と考えられている)
亜熱帯ジェットと比べて南北変動が大きく、時間平均すると見えなくなる。
Jpa(Ja:北極前線ジェット気流)
Jpnのさらに北のジェット気流。
参考:軸の目安は400hPa
1月:N49°(46〜56:樺太〜カムチャツカの西端)、300hPaで8400〜8700m
4月:N54°(50〜59:樺太〜オホーツク海の北の方)、300hPaで8500〜9800m
10月:N66°(59〜72:オホーツク海北部〜)、300hPaで8500〜8700m
Jpn(分流した北系の寒帯前線ジェット気流)
参考:軸の目安は300~400hPa
1月:N38°(34〜44:山口〜国後島)、300hPaで8800〜9100m
4月:N46°(42〜50:北海道〜樺太)、300hPaで8800〜9000m
10月:N54°(44〜62:国後島〜オホーツク海北端)、300hPaで8800〜9000m
Jps(分流した南系の寒帯前線ジェット気流)
参考:軸の目安は250~300hPa
1月:Jsと合流することがある
4月:N38°(34〜41:山口〜青森)、300hPaで9100〜9300m
7月:N54°(44〜64:国後島〜)、300hPaで9200〜9400m
10月:N43°(38〜51:宮城〜樺太)、300hPaで9000〜9300m
Js(亜熱帯ジェット気流)
ハドレー循環の北側、フェレル循環の南側にある。
(ハドレー循環は暖気側で上昇して寒気側で下降する閉じた循環)
ハドレー循環による角運動量輸送で亜熱帯ジェットができる。
角運動量が大きい低緯度から緯度の高い方に空気が流れると、角運動量の余剰が出る。
この余った角運動量が西風を生み、亜熱帯ジェットが形成される。
亜熱帯前線は比較的不明瞭で下層まで繋がっていない。
寒候期にはJsとJpsが合流し、形状はJsで安定層が下層まで解析されることがある。
チベット高気圧※があると、その北側N40°付近に北上する(梅雨明けに関連)。
(※南/東南アジアの降水による潜熱加熱やチベット高原への日射によりできた上部対流圏の高気圧)
参考:軸の目安は200hPa前後
1月:N30°(27〜33:沖縄〜福岡)、300hPaで9200〜9430m
4月:N30°(27〜35:沖縄〜対馬)、300hPaで9500〜9600m
梅雨:N35〜40°:対馬〜秋田
7月:N44°(38〜48:宮城〜樺太南部)、300hPaで9500〜9600m
10月:N36°(33〜40:大分〜秋田)、300hPaで9300〜9600m
N60°:オホーツク海が北東に入り込んだ所
N55°:カムチャツカ半島の西端の少し南
N50°:樺太の真ん中付近
N48°:樺太南部の細い所
N45°:利尻島の少し南
N43°:ウラジオストク、札幌付近
N40°:秋田県男鹿半島(西側に凸)の北の方
N38°:北朝鮮・韓国の境界付近。宮城・福島県境の少し北
N35°:対馬の少し北。島根県の真ん中付近
N33°:福岡・熊本・大分県境の少し南
N30°:屋久島の少し南
N27°:与論島の少し南(沖縄の北)
参考資料:
ジェット気流の図(外部サイト:Wikipedia)
衛星画像で観測される雲パターン(外部サイト:気象庁)
ジェットストリーク(jet streak)
ジェット気流の中で特に風速の大きい領域。
強風軸では相対渦度は0、左側が正渦度、右側が負渦度(シアー渦度)
正渦度移流域:
ジェットストリークの左前(出口左側。正渦度域の風下)
ジェットストリークの右後ろ(入口右側。負渦度域の風上)
正渦度移流域と同じ領域で非地衡風成分により水平発散が生じる。これは対流圏の上昇流と対応する。
この上昇運動は熱的間接循環(温度差による)ではなく、風の運動エネルギーの変換という間接的なプロセスで駆動される。
ジェットストリーク入口や出口では温度風平衡が崩れ、それを回復するために鉛直循環が生じる。
非地衡風運動は加速度に対して左向きに生じる。
加速する場(入口)ではジェット気流に対して非地衡風運動が左向きに生じる。
減速する場(出口)ではジェット気流に対して右向きに生じる。
トラフ前方にジェットストリークがあり、入口の左側(負渦度移流域)とトラフが重なる場合、トラフは浅くなる。
上層トラフの走向は北東~南西(北ほど前方に傾く)。正の傾きのトラフとも呼ばれる。
トラフ後方にジェットストリークがあり、出口の左側(正渦度移流域)とトラフが重なる場合、トラフは深くなる。
上層トラフの走向は北西~南東。負の傾きのトラフとも呼ばれ、こちらの方が擾乱が発達しやすい。
地衡風
気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いの結果生じる風。
地衡風平衡では加速度を無視している。
摩擦力のほとんどない上空は地衡風に近い。
気圧面の傾きに比例する。
地衡風調節
地衡風調節のメカニズム
初期の不均衡:加熱・冷却等で気圧や密度の分布に不均衡が生じる。
重力波の発生:不均衡状態から内部重力波が発生し、この波がエネルギーと運動量を伝搬させる。
調節:重力波が伝播するにつれて、流体はコリオリ力と気圧傾度力がバランスする地衡風平衡に近づく。
調節過程が完了すると、流れは地衡風成分とより小さな非地衡風成分に分かれる。
擾乱のスケールがロスビーの変形半径より小さければ、コリオリ力より重力や気圧傾度力がメインで動く。
高度場(圧力場)が風の場に合わせて調節される。
重力波によってエネルギーが広範囲に散逸する。
擾乱のスケールが拡大し、強度が弱まる。
小規模な擾乱は減衰し、残りの部分が地衡風平衡に向かう。
大きければ、コリオリ力が効いて流れが大きく変わる。
風の場が高度場に合わせて調節される。
渦位が保存されるため、低気圧性循環が維持される。
重力波による擾乱のエネルギー散逸は比較的少ない。
大規模な擾乱は長時間維持される。
ロスビーの変形半径
コリオリ力と重力による復元力が同程度の影響力を持つ特徴的な水平スケール。
中緯度の対流圏では、約1000kmのオーダー。
ロスビーの変形半径 = ブラント・ヴァイサラ振動数 * 鉛直スケール / コリオリパラメータ
変形半径より大きいスケールではコリオリ力が支配的となる。
運動は主に地衡風バランスによって制約され、重力波の影響は相対的に小さい。
変形半径より小さいスケールでは重力の効果が支配的となり、内部重力波の性質が顕著。
コリオリ力の影響は相対的に小さくなる。
ロスビーの浸透高度
上空の回転の効果が強いと深くまで影響する(鉛直方向の影響)。
安定度が悪いと渦度が下方まで伝わりやすい。
ロスビーの浸透高度(m) 〜 コリオリパラメータ(s-1) * 水平スケール(m) / ブラント・ヴァイサラ振動数(s-1)
非地衡風
地衡風や温度風のバランスが崩れた時に回復しようとする運動。鉛直流を伴う。
等高度線を横切る流れは非地衡風によることが多い。
ジェットストリーク入口では加速度が正:非地衡風は低圧側(風の流れから見て左向き)
出口では加速度が負:非地衡風は高圧側(風の流れから見て右向き)
リッジでは高圧側(右向き)に地衡風が変化:非地衡風は前向き
トラフでは低圧側(左向き)に地衡風変化:非地衡風は後ろ向き
東に張り出すチベット高気圧の北東側は発散場となり、その下の層の上昇流を励起する。
(北から南に吹く非地衡風成分がリッジ付近で最大となる)。
非地衡風成分が大きいと上層雲が広がりやすい。
緯度30°以下は赤道に近づくにつれてコリオリパラメータが小さく、地衡風近似が成立しにくくなる。
⇒ 低緯度では等圧線解析よりも流線解析が有効(流線関数や速度ポテンシャルも使われる)。
傾度風
気圧傾度力・コリオリの力・遠心力が釣り合った風。
低気圧性曲率が大きいところでは相対的に風速が小さくなる。
現実の風速は地衡風より傾度風に近い。
低気圧やトラフでは傾度風より地衡風の方が大きい。
高気圧やリッジでは地衡風より傾度風の方が大きい。
旋衡風
遠心力と気圧傾度力がほぼ釣り合い、コリオリ力を無視できる。
竜巻や台風の目付近の風。
温度風
地衡風の高度差(鉛直シアー)
温度風ベクトルに対して右側が暖気で層厚が高い。
下層から上層に時計回りに変化するときは暖気移流。
反時計回りは寒気移流。
ただし、摩擦の影響を受けるエクマン境界層(数10m~1000m)では常に時計回りの変化(暖気移流とは関係がない)。
高度の等値線と温度の等値線で囲まれた四辺形の面積が小さいほど温度移流が強い。
温度風バランス:水平温度傾度と地衡風の鉛直シアが釣り合った状態
鉛直流は、上層の渦度移流または温度移流により温度風バランスが崩れた際に、バランスを回復させるように生じる。
→ 準地衡風オメガ方程式
層厚(そうこう)
二つの気圧面で挟まれた空気層の厚さ。
その層の平均の仮温度に比例する。
アナ型前線、アナフロント
暖気側の空気が相対的に寒気の上を斜めに上昇する前線。
アナフロントでは、主要な降水域は地上前線より寒気側に分布する。
(見分け方)
地上前線の移動速度 > 暖域内の85面などの風速(前線に垂直な成分)
水平温度傾度が増大し前線が強まると、崩れた温度風バランスを回復するために暖気側で上昇運動、寒気側で下降運動が生じる。
(熱的直接循環:浮力で上昇する自然な動き)
カタ型前線、カタフロント
暖気側の空気が斜めに下降する前線。
寒冷前線はアナフロント/カタフロント両方ある。
カタ型寒冷前線では主要な降水域が暖気側に出ることもある。
地上の寒冷前線上空に乾燥空気(低相当温位)が流入。
後方から下降しながら地上寒冷前線を追い越した中上層の乾燥空気が暖域内の湿潤暖気の上に乗り上げる。
⇒対流不安定成層を形成(層全体が持ちあげられなければ不安定が顕在化しない状態)。
⇒上空の乾燥空気が温暖前線付近の暖気移流域まで来ると、層全体が上昇し不安定が顕在化。
(この位置をUCF(上層の寒冷前線)と呼ぶ)
水平温度傾度が減少し前線が弱まると、暖気側で下降運動、寒気側で上昇運動が生じる。
(熱的間接循環:浮力ではなく力学的な強制力による)
スプリット型前線、スプリットフロント
カタ型寒冷前線の前方上空にできる寒冷前線。結構多い。
UCF(アッパーコールドフロント)によるレインバンド。
寒冷前線付近では背の低い対流雲、上空のスプリットフロント付近では背の高い対流雲が生じる。
乾燥した低相当温位が乗り上げ対流不安定となる(上昇流が起こらなければ顕在化しない)。
ジェットの出口左側の分流型のトラフの下に位置する傾向がある。
ベントバック前線
低気圧が発達し、温暖前線が寒冷前線の西側に回り込むように伸びる前線。
最近は寒冷前線として解析されることが多くなっている。
ベントバック前線の先端で数時間程度強風が発生することがある(Sting Jet)。
ストリングジェット
低気圧中心の南側で発生し、中層にある乾燥空気が加速しながら下降。地表で暴風となることがある。
ストリングの意味は「紐のような(細長い)」
梅雨前線
気象庁の予報用語では「春から盛夏への季節の移行期に日本から中国大陸付近に出現する停滞前線」とされている。
温暖前線や寒冷前線として解析されることもある(長い目で見れば動きがゆっくりしているため、一般に梅雨前線は停滞性の前線とされている)。
太平洋高気圧の周辺を回る暖湿気と中国大陸からオホーツク海高気圧にかけて広がる乾燥・寒冷な気団との間にできる風の収束帯。
(大規模な気団を表すには1㎞より上(自由大気中)の850hPaで見るのが適切)
梅雨前線は水平温度傾度が比較的小さく、温帯低気圧の前線とは性質が異なる。
梅雨前線の位置:
前線付近の水蒸気量の差が大きく、温位よりも相当温位と対応がよい。
梅雨前線帯の北側は相当温位の勾配が高い(比湿の勾配が高く、湿度の勾配は高くない)。
⇒ この付近に梅雨前線が解析される
梅雨前線帯は衛星画像や中層の湿域(湿舌)でも把握できる。
湿舌:700~500hPa気圧面で見られる湿域
対流活動の結果として見られる湿域。
・中国大陸で上昇流により下層から持上げられ、西南西風により日本に運ばれる。
・東シナ海から日本にかけての対流活動により下層から持上げられる。
梅雨前線の解析の参考となる要素
亜熱帯高気圧の北縁(亜熱帯高気圧は500hPa面の5880m高度線が目安)
亜熱帯ジェット気流付近
チベット高気圧の北縁(チベット高気圧は300hPa面の9720m高度線が目安)
梅雨前線帯の特徴:
前線帯より北側:安定な成層。全層低温で西風が卓越し、中層には乾燥空気が流入している。
前線帯:対流活動により湿潤中立な成層。自由対流高度が低く弱い上昇流でも容易に発達する。
梅雨前線帯の南縁は比較的気温減率(950-500hPa)が大きく積乱雲が発達しやすい。
(気温減率(=安定度)の南北差:梅雨前線帯下層の南北傾度は小さく、上空の気温分布に依る所が大きい)
前線帯より南側:強い対流不安定な成層。下層には暖湿気が流れ込み、上空には太平洋高気圧に伴う下降流で乾燥した空気がある。
下層の湿った空気を自由対流高度まで持ち上げる強制力がないため対流が起こりにくい。
対流が起こっても上空が乾燥しているため発達しにくい。
梅雨前線帯中の南側には800hPaより上空(700hPa付近を中心)に15m/s以上の西風が見られる(梅雨ジェット/下層ジェット)。
梅雨ジェットの成因:
下層に流入する南西風が対流活動で加速する。
加速した下層風が対流活動で上空に輸送され、コリオリの力で西風に変わる。
梅雨ジェットに伴う強風域は、梅雨前線帯の北側上空に存在する亜熱帯ジェットにつながる。
下層に流れ込む暖湿気と梅雨ジェット間の鉛直シアによって積乱雲が組織化しやすくなる。
西日本で大雨になりやすい気圧配置
太平洋高気圧が西に張り出し、オホーツク海高気圧との間で対馬海峡に梅雨前線が停滞。
梅雨前線付近で九州の西側に下層トラフまたは下層起源のメソ低気圧がある。
湿舌の南端。梅雨前線の南側200km以内
北陸から新潟地方では梅雨前線付近で発生することが多い。
気圧の谷前面で上空の空気が上昇しながら東に進み、断熱冷却で低温化して不安定となる。
梅雨末期に大雨となる要因(の1つ)
6月には華南付近で暖められた中層の空気が日本列島上に流れ込み、大気の安定度が高くなる
(中層に暖気が入ると浮力がなくなる高度が低くなり、対流活動が抑制される)
7月には中国大陸での活発な対流活動が北上しつつ弱まり、日本への中層暖気の流入が減る。
その結果対流が抑制されにくくなる。
沿岸前線
陸地が冷たく海上が温かい状況で沿岸沿いに形成されるメソスケールの前線。
晩秋から冬の夜間、冬季の温帯低気圧接近時などに発生する。
(海陸風前線(通常は海側が低温)は沿岸前線と呼ばない)
発生例:北東側に高気圧があって寒気が南下しCADができ、暖かい海上との間に発生。
メソスケールの沿岸前線の要因
CAD
降水の昇華・蒸発・融解による非断熱冷却
地表面の風の摩擦
地上気温の日変化による局地循環
出典:荒木健太郎."沿岸前線"(日本気象学会 新用語解説)
https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2015/2015_06_0053.pdf
前線の傾き
前線の傾きは鉛直安定度の差で決まる。
前線帯で安定度が高いと前線は寒気側に傾く(教科書通りの前線の形)。
(前線が正渦度極大に一致するため、気圧の谷の位置に前線が解析される)
前線帯で安定度が相対的に低いと、前線は暖気側に傾く。
(前線の前方に気圧の谷が位置する)
インスタントオクルージョン
元は別だったコンマ型の雲と前線帯の雲バンドが合体して一つの低気圧として発達する。
暖域内の雲域
高気圧縁辺流に沿って寒冷前線に合流する対流雲列。
高気圧性曲率を帯びている。
梅雨前線付近やその南100~200㎞に線状降水帯が発生しやすい。
線状降水帯発生の閾値(地形の影響などでこれより低い条件で発生することもある)
・鉛直シア: SReH 100-150 m2/s2以上
・対流発生: DLFC 1000-500 m以下
・水蒸気供給: FLWV 150-200 g/m2s以上
・上空の湿度: RH500と700 60-80%以上
・上昇流域: W700hPa(400km水平平均) 0 m/s以上
・対流発達: EL(500m高度)3000 m以上
CAD(Cold-Air Damming)
CADの発生条件
山脈に向かう流れが山脈を超えず、山脈の風上側に質量が蓄積される。
水平風速に対して鉛直安定度が大きい=フルード数が小さい。
高さ1kmなら100kmくらいの山脈が目安。山脈の東側で起こりやすい。
CADの例: 東風が南北の山脈を迂回して北風となり、麓に寒気が溜まる。
寒気が山脈の手前で迂回し(山脈を右に見る流れが顕在化)、山の麓に寒気層ができる。
日本では関東地方の内陸に寒気が停滞し、雪になることもある。
山沿いに分布する下層寒気の水平スケールは、百数十km程度。
⇒ CAD発生時は山脈から100~数百kmの位置に沿岸前線が生じることがある。
CADが終了する要因
高度により異なる水平温度移流(下層寒気移流の弱まりまたは上空の寒気移流)
日射による下層の加熱
下層寒気内の水平発散に伴う沈降
強い鉛直シアーによる逆転層を通した混合
沿岸前線の内陸への侵入
フルード数(Fr=U/NH)
U: 山脈に垂直な風速
N: ブラント・バイサラ振動数(鉛直安定度)乾燥空気では10-2s-1くらい
H: 山脈の高さ
逆転層
上空ほど気温が高く、安定度の高い層。
波状雲の上には逆転層が見られることが多い。
前線性逆転層
逆転層の上側が湿潤。湿潤断熱的。
温暖前線では観測されることもあるが、寒冷前線ではあまり観測されない。
総観規模現象と関連した逆転層。
沈降性逆転層
強い沈降による断熱圧縮で昇温し、逆転層の上側が高温乾燥。
典型的な沈降性逆転層の上側では、等温位線(乾燥断熱線)に沿ったプロファイルになる。
露点温度のプロファイルは混合比線に近くなる傾向がある。
通常は水平風に流されながら斜めに下降するため、典型的なパターンにはなりにくい。
総観規模現象と関連した逆転層。
放射逆転層
地表面が冷却されて起こる。
寒候期に湿度が低く晴れて風のない夜に起こりやすい。
移流逆転層
地表面付近と気温差のある空気が海上から流入してできる。
寒候期: 低温な陸上に海上の暖かい空気が流入。前線性逆転層と同質。
(沿岸前線を伴うことがある)。
暖候期: 高温な陸上の空気に海上の冷たい空気が流入。
(霧を伴うことがある)。
乱流性逆転層
比較的乾燥している層で乱流に伴う強い鉛直混合が断熱的に生じると、断熱層の上下に逆転層が生じる。
上部対流圏で晴天乱流があるような層に生じると言われている。
上側の逆転層は断熱膨張により冷却されたもの。
下側の逆転層は断熱圧縮により昇温したもの(沈降性逆転層と同様)。
混合された層はそれぞれ等混合比線と等温位線に沿った変化をする。
貿易風逆転層
亜熱帯高気圧に覆われた海上で下層に生じる逆転層。
最下層は混合され乾燥。その上に湿潤な層があり、その上に沈降に伴う逆転層。
(沈降が強い場合、逆転層の上は沈降性逆転層に類似)
上にある逆転層で蓋をされて高度1㎞くらいまでに積雲が生じる。
海面から水蒸気が補給され積雲が発生すると、逆転層の下部が蒸発や放射冷却などで低温化し逆転層の高度が上昇する。
日本では夏に太平洋高気圧に覆われた時にしばしば見られる。
JPCZ
日本海寒帯気団収束帯。
朝鮮半島北部の山岳の影響で発生。
Tモードの帯状雲とその南西側の背の高い対流雲列(下層風の収束を伴う)がJPCZに対応する。
Lモード: 風向に沿った雲列
Tモード: 風向に垂直な雲列(東西にあるLモードの雲列に挟まれて現れる)
JPCZ上ではポーラーロウが発生することもある。
ポーラーロウ
冬季に寒帯前線の寒気側の海上に発生する低気圧。
発生要因:大陸からの寒気の吹き出しと暖かい海水温による不安定。傾圧不安定の寄与もある。
水平温度傾度がないと軸対象に、水平温度傾度が強いとコンマ状になる。
JPCZ上に発生することもある。
オープンセル
セルの中が晴れで回りに雲がある(円形やU字型)。
雲の種類は積雲。
気温と海面水温の差が大きいときに出る。
発達した低気圧後面の寒気移流によってできることが多い(なので低気圧性の流れの中にあることが多い)。
風速・風向の鉛直シアが小さいときに円形になりやすい。
下層の風速が20ktを超えると円形からU字型になりやすい。
エンハンスト積雲
強い寒気移流による不安定成層の中でできた積乱雲。
オープンセルの領域の中でも特に寒気移流の強い(低気圧に近い)所に出る。
クローズドセル
セルの中に雲があって周りが晴れ。
雲の種類は層積雲。
オープンセルと比べると気温と海面水温の差が小さい。
寒気の流入が弱まってオープンセルからクローズドセルに変化することがある。
オープンセルと比べると高気圧性の流れの中にあることが多い。
風速・風向の鉛直シアが小さく風も20kt以下が多い。
筋状雲
下層風に平行にできた積雲の列。
雲頂高度はほぼ一定。
オープンセルやクローズドセルと比べると風速の鉛直シアが大きい。
筋状雲の例:
風上でロール状の対流が発生し、海岸線から離れるにつれてオープンセルやクローズドセルが現れる。
Lモード(longitudinal mode)
平行型(一般風に平行)のロール状対流雲(筋状雲)。
南西側の平行型筋状雲は高さ3㎞くらいで北東側より雲頂が高い。
(気団変質を強く受け、対流混合層下部の相当温位が高い)。
JPCZと比べて霰が多い。
Tモード(transverse mode)
風向きに直交した筋状雲(帯状雲エリア)。
熱的不安定やシア不安定の影響を受けて形成し、北東側に傾いた構造。
(鉛直シアベクトルに沿ったロール状対流)
大陸側の風上から日本に近づくにつれて帯状雲エリアの幅が広くなる。
高さは3㎞くらいで南西側ほど高い。
南西の端には下層収束に対応した活発な積乱雲列が存在し、日本海沿岸に大雪をもたらす。
積乱雲列の高さは4kmぐらい。
南西側の方が発達するのは、海面水温が比較的高く気団変質を強く受けるため。
(対流混合層下部の相当温位が高くなる)。
中小規模気象学によると、雪雲の雲頂高度が低いのは大気下層の気温が低いためであり、上空の逆転層により決まるわけではないとのこと。
雪雲の上端に見られる逆転層は対流活動の結果として現れる。
山雪型
標高の高い所に降雪のピークがある。
総観場では日本海は下降流。
降雪の要因は地形性上昇流が主。
日本海上の等圧線間隔が狭い(北西風が強い)ときになりやすい。
(雪は落下するのに30分以上かかるため、風が強ければ落下するうちに内陸まで流される)
里雪型
海岸部に降雪のピークがある。
日本海では上層渦度移流による上昇流。
低気圧等の擾乱による上昇流の影響により平地でもまとまった降雪となる。
日本海上の等圧線間隔が比較的広い(北西風が弱い)ときになりやすい。
海上の風が弱いと、陸風が吹いたときに海岸線の近くで収束が起こり大雪となることがある。
日本海上の大気の安定度が低い。
南岸低気圧
西高東低(冬型)の気圧配置の時は日本海側で雪が降りやすい。
南岸低気圧は太平洋側に雪を降らせる典型的なパターン。
日本の南側(南岸)を通過する低気圧を南岸低気圧と言う。
低気圧が通過する位置が近過ぎると雨になり、遠過ぎると雨も雪も降らない。
雪が降る範囲が限定的で予報が難しいパターン。
雪を予測できたときも、低気圧が通る位置や強さで降雪量が変わるため何センチ積もるのか予測が難しい。
また、南岸低気圧で降る雪は湿っていることが多く着雪の被害が出やすい。
南岸低気圧が雪を降らせるとき、850hPaと地上の気温差は比較的小さい。
西高東低の気圧配置のときは850hPaが-3℃なら山地で雪が降っても平地では雪にならないことも多い。
一方で南岸低気圧では850hPaが-3℃以下になると平地でも大雪になる事がある。
南岸低気圧のときは925hPaの気温など上空1km以下の気温を確認する事も重要となる。
雪水比
降雪量と降水量の比(降雪量cm/降水量mm)
(雪水"比"は通常mm/mmの単位ですが、ここではcm/mmで記載しています)
地上気温が2℃以上ある場合、降水量2ミリの雪が降っても1センチ以上の積雪にはなりにくい。
地上気温が氷点下の場合、降水量2ミリの雪が降ると3センチ以上の積雪になることがある。
地上気温と雪水比の目安※
2℃ 0.2前後
1℃ 0.5前後
0℃ 1前後
-1℃ 1.2前後
-2℃ 1.5前後
※湿度や上空の気温、地面の冷えやすさ、風速によっても変わります。
ここでは単位をcm/mmで記載しています。
0℃くらいの地上気温の時、1ミリの降水は1センチの降雪に対応します。
雪と気温
空気が乾燥していると、地上気温が6℃で雪が降ることもあります。
地上の気温が3℃以下になると雪が降りやすく、積もり始めることもあります。
地上の気温が1℃以下になると雪が積もりやすくなります。
氷点下になるともっと積もりやすくなります。
850hPa(上空約1500m)の気温に置き換えると、
-3℃なら雪が降ることもあり、-6℃で雪が降りやすく、-9℃なら積もりやすい環境です。
標準的な地上気温と上空の気温の関係(福岡上空の平年値からの概算)
地上 925hPa 850hPa 700hPa
6℃ 1〜2℃ -3℃ -8℃
3℃ -1〜-2℃ -6℃ -11℃
0℃ -4〜-5℃ -9℃ -14℃
-3℃ -7〜-8℃ -12℃ -17℃
925hPaは上空約800m、850hPaは約1500m、700hPaは約3000mです。
冬は100m上空に行くにつれて0.5〜0.6℃気温が下がります。
冬型の気圧配置で大雪になるとき、700hPaの気温は標準より低いことが多いです。
850hPaの気温は雪が降る目安になりますが、大雪の目安には700hPaの気温を見ることが多いです。
700hPa付近に強い寒気が入ることで雪雲が発達しやすくなり、降雪量が増えるためです。
上の表の標準的な気温より700hPaの気温が3℃以上低いと要注意です。
対流有効位置エネルギー(CAPE)
自由対流高度から平衡高度まで空気塊を上昇させるとき、浮力が空気塊に為す仕事エネルギー。
浮力を鉛直方向に積分したものがCAPEに相当する。
上昇気流の起こしやすさ(強い上昇気流の診断)。大きいほど不安定。0は上向きの浮力がない状態。
ELにおける理論上の最大上昇速度は(2×CAPE)の平方根
(実際にはその半分程度と言われている)
CAPE > CIN: 真性潜在不安定
CAPE < CIN: 偽似潜在不安定
0~1000: やや不安定
2500~3500: 非常に不安定
1000J/kg未満で大雨になることは多い。
逆に値が大きくても対流が発達するとは限らない。
(上空が乾燥していても大きな値になることがある)
線状降水帯事例では 1000J/kgくらいが多い。
暖候期の発雷時は >2000J/kgが多い。
対流抑制(CIN)
上昇気流の起こしにくさ。
自由対流高度まで上昇させるために必要なエネルギー。
ただし自由対流高度を見る方が実用的。
(例えば地形に沿って強制的に空気が上昇するとき)
第1種条件付不安定(CIFK)
普通の条件付き不安定。
気温減率が乾燥断熱減率より小さく湿潤断熱減率より大きい環境。
飽和した空気塊の凝結による潜熱過熱で不安定が生じる。
第2種条件付不安定(CISK)
小さなスケールでは不安定にならない状態を大規模な渦巻との相互作用で不安定化させる現象。
第1種条件付不安定の環境で大規模な下層循環があると、
⇒ 摩擦収束が境界層で生じる
⇒ 対流性擾乱が発達
台風の発生メカニズムの一つ
境界層内の摩擦収束・上昇流
⇒ 対流に伴う潜熱加熱
⇒ 上層暖気に伴う下層低気圧の深まり・低気圧性循環強化
⇒ 摩擦収束(台風の発生・発達初期)
WISHE(Wind-Induced Surface Heat Exchange)
台風の発達メカニズムの一つ。
カルノーサイクルと関連付けられる。
CONV: 収束、DIV: 発散
対流発生の目安として確認する。
理論的には大気は地上と圏界面で収束・発散が起こり、中層で0になる。
理論上中層で鉛直運動が最大になるため、500hPa面の渦度は時間変化が小さく追跡できる。
(実際には500hPa面でも収束・発散は起こる)
持ち上げ凝結高度(LCL)
空気塊を持ち上げた時に凝結が始まる高度。
雲底高度に対応する。
風が山にぶつかって上昇する強制上昇や前線などで空気塊が持ち上がって雲ができる時に使う。
気温のエマグラムでは、下層の気温から乾燥断熱線に沿って引いた線と地上付近の露点から等飽和混合比線に沿って引いた線の交点。
(地上付近は極端に気温が高いことがあるため、950hPaくらいから線を引くと実用的)
通常は対流凝結高度より低い。
対流凝結高度(CCL)
雲底の目安。
浮力で自ら上昇し、凝結が始まる高度。
日射などで対流ができ始める時に対流雲ができ始める高度。
通常は持ち上げ凝結高度より高い。
自由対流高度(LFC)
浮力のみで上昇できる高度の下限。
自由対流高度があれば潜在不安定。
温位のエマグラムでは、飽和相当温位と持ち上げる空気塊の等相当温位線の交差点(下側)
「持ち上げる空気塊」のおすすめは950hPa気圧面(中小規模気象学p45より)
持ち上げ凝結高度と対流凝結高度の間の高さになることが多い(LCL < LFC ≦ CCL)
持ち上げ凝結高度より自由対流高度が高くないと対流雲は発達しない(LCL < LFC)
dLFC
500mからLFCまでの距離。
対流の発生しやすさの目安。小さいほど不安定。
日中は昇温し乾燥するので普通大きくなる。
2km以上の時に対流が起こるのはまれ(大きな強制上昇が必要)。
1kmなら山地の影響による強制上昇で対流が起こり得る。
500m以下だと平野部でも対流が発生しやすい。
平衡高度(EL)
地上付近の空気塊を断熱的に上昇させた時、浮力のみで上昇できる高度の上限。
LNBや浮力ゼロ高度とも言われる。
対流雲の雲頂高度の目安。
高いと対流が発達しやすい。対流の発達の目安として使う。
上昇流の勢いでこれより高く上がることもある(オーバーシュート)。
平衡高度13kmの時に積乱雲が15kmくらいまで発達することもある。
(対流圏界面より上空に積乱雲が発達した部分に限定して呼ぶこともあるらしい)
温位のエマグラムでは、飽和相当温位と持ち上げる空気塊の等相当温位線の交差点(上側)
「持ち上げる空気塊」のおすすめは950hPa気圧面(中小規模気象学p45より)
中層に暖気が流入すると平衡高度が下がり積乱雲が発達しにくくなる。
6月は中国大陸上の対流により潜熱が解放された暖気が九州に流れ込み、平衡高度を下げる。
7月は大陸での対流が弱まり中層の暖気が流れ込みにくくなる。
EHI
スーパーセルや竜巻の発生しやすさを経験的に指標化したもの。
(CAPE * SREH) / 160000
1以上: スーパーセル発達の可能性あり
4以上: 顕著な竜巻が発生する可能性が高い
EHIが低くなりやすい冬季の竜巻の評価にはやや不向き
(冬は下層の気温が低いためCAPEが小さい。その結果EHIも小さくなる)
CAPEが小さくSReHが大きい状態は「スーパーセル的な回転は作れるが、持続的で強い対流が起きにくい」環境
冬季の竜巻は寿命が短く、強い上昇流よりも低層の風の回転や収束が重要になる
(下層に暖気・上空に寒気が入り冬季にEHIが1以上となるような環境は要警戒)
冬季の竜巻の評価で重要となる指標
①低層鉛直シア
0〜1kmの風速差(15m/s以上は注意)
0〜1kmのSRH(200m²/s²以上は注意)
②前線や収束線、低気圧
③LCL
800m以下は要注意。500m以下はより注意
QLCS内渦
Quasi-Linear Convective System
線状対流中のメソスケールの渦で竜巻の原因になることがある
短寿命で突発的に発生する
K指数 / KINX / KI
発雷の可能性。中下層の気温と露点温度から計算。
15以下: 可能性ほとんどない
40以上: ほぼ確実に発雷
SReH
積乱雲に流れ込む気塊が運び込む回転の大きさ。
大気下層の鉛直シアの診断に使う。
ストームに相対的なヘリシティ(螺旋の回転)。
スーパーセルの発生しやすさ。積乱雲の回転しやすさ。
SReHの単位はm2s-2
大きいほど暖気移流が強く、対流が組織化しやすい。
1998年6月の線状降水帯の例では300以上
2012年7月の九州北部豪雨では最大450
1㎞以下と3㎞の風向が異なり、ともに風速が強いと大きくなる。
現場ではWPR(ウィンドプロファイラ)で確認する。
150~300: 弱い竜巻の可能性(F0~1)
300以上:強い竜巻の可能性(F2~3)
450以上: 破壊的な竜巻の可能性(F4以上)
SSI: ショワルター安定指数
500hPaにおける気温と、850hPaの空気塊を500hPaまで持ち上げたときの温度*との差。
*持ち上げ凝結高度までは乾燥断熱率に沿って、それ以降は湿潤断熱率に沿って持ち上げる
0~-3: やや不安定で雷雨の可能性がある
-6~-9: 非常に不安定
SWEAT: シビアウェザー指数
激しい雷雨の発生しやすさの目安。
300以上: 激しい雷雨の可能性
400以上: 竜巻の可能性
TVP
竜巻が発生した場合の推定風速。
VGP: 渦生成パラメータ
竜巻の発生しやすさ。
積乱雲の上昇流による水平渦度の傾きと引き伸ばしの割合を推定している。
0.2より大きいと竜巻の発生可能性が大きくなる。
VORsfc
地上の鉛直渦度。
顕著な収束線の把握に利用。
竜巻の鉛直渦度は1s-1くらい。
メソサイクロンは10s-2くらい(20分で1回転)。
エントレインメント
気塊が上昇する際、周辺の乾いた冷たい空気を取り込んで一体化する過程。
上空が乾燥している場合、エントレインメントにより対流が抑えられる。
傾圧不安定
等圧面と等温面(または等密度面)が交差している状態。
傾圧とは、気温・密度の変化が水平方向だけでなく鉛直方向にも傾いている状態。
温度風主体の風の鉛直シアーが大きい。
温帯低気圧が発生する要因。
寒気と暖気が並んで存在して風がそれに沿って強く吹いている時、境界が波打つように不安定になり渦を生み出す。
通常、前線帯は傾圧帯に含まれる。
ただし傾圧状態は前線帯以外にも発生するため、傾圧帯=前線帯ではない。
(傾圧帯は日変化や局地的な要因で温度勾配ができた状態や、気団の境界ではない緩やかな温度変化を含む)
また、梅雨前線は傾圧的でないこともある(水蒸気量の差が大きく温度勾配が小さいことがある)。
順圧不安定
基本流の絶対渦度の水平分布に依存して生じる不安定。
水平風のシアによって不安定化。例は冬季の日本海で発生する渦状擾乱。
大気がほぼ等温(順圧的)でも、風のシアがあると不安定になる。
赤道域など気温差が小さい地域の大規模な渦形成で見られる。
順圧: 等圧面と等密度面が平行な状態。
ケルビン・ヘルムホルツ不安定
密度差のある2つの層の水平速度が異なるとき(鉛直シアがあるとき)に起こる。
安定成層中を伝わる重力波が、強い鉛直シアーによって波形が崩れ、破砕して発生する。
夜間の気温振動をもたらす(風速が変動することによる)。
鉛直シアが大きく安定度が小さい時に起こる。
リチャードソン数 1/4未満が発生条件。
例(目安): 高度差1kmで20m/s以上の風速差。
トランスバースラインはケルビン・ヘルムホルツ波の一例(圏界面の直下にできる)
バルクリチャードソン数
浮力と慣性力の比。
乱流が起きるかどうかを判断する指標。
浮力 / 風速差による乱流輸送
温位の鉛直方向の変化率(安定度)/ 鉛直シア2(運動エネルギーの変化率)
(ブラント-バイサラ振動数(静的安定度)を鉛直シアーで割って2乗する)
0より小さいと自然対流で乱流が起こる。
0〜0.25ではK-H不安定が起こりやすい(対流混合可能)
1以上では安定成層で混合は抑えられる。
ブラント-バイサラ振動数
空気塊を上下にずらした時、それが元の位置に戻ろうとするか、そのまま離れているかを表す揺れやすさの指標。
浮力による上下運動の振動数。戻ろうとする力の大きさを示す。
単位は1/s(1秒あたりに揺れる回数)
N2 > 0 の時、空気は上下に振動する(安定)
N2 < 0 の時、空気はそのまま上昇・下降し続ける(対流が起こる)
内部重力波
安定成層にある空気塊が上下に動くと浮力を受けて振動し、波動となって伝わっていく。
密度の違う流体が層になっている時、重いものは下に軽いものは上に戻ろうとする性質により波ができる。
進行方向に直角に振動し、振幅は増大しない。
山岳波で可視化されることがある。
ジェットの南側や温暖前線の北側で非地衡風成分が卓越する所にも出やすい。
Brunt-Vaisala振動数より大きな振動数の内部重力波は伝播できない。
(振動数が大き過ぎると、浮力が元に戻す前に波が次の動きを始めてしまい波を維持できない)
波数 × 水平風速 > ブラントバイサラ振動数の場合、山岳波は伝播できない。
山幅が狭く風速が大きく大気の安定度が低い(中立に近い)と減衰する。
山幅が大きく風速が小さく大気の安定度が高いと伝播する。
伝播できる範囲の中で風速が強くなるほど鉛直流は強くなる。
おろし風(山岳波の一例)
山岳の風下斜面で温位面が急降下し、その下流で急上昇する現象。
(降下がおろし風、上昇が跳ね水現象)
山の風下の開けた場所に起こる強風。
斜面から10㎞くらいまでの限定された場所で強風になりやすい。
エルロッド指数
CAT(晴天乱気流)の指標
鉛直シアー×(水平収束+水平風による変形)
静的不安定
静水圧平衡の中で空気塊を鉛直に動かしたときに動き続ける状態。
空気塊が元の位置に戻る場合は静的安定。
静的安定性は鉛直方向の安定性。
静水圧平衡
重力による収縮と圧力勾配による膨張が釣り合った状態。
絶対安定
上空ほど飽和相当温位が高い状態。
気温減率 < 湿潤断熱減率
対流安定
上空ほど相当温位が高い状態。
静的安定
上空ほど温位が高い状態。
飽和中立、湿潤中立
飽和相当温位が鉛直に一定。
気温減率 = 湿潤断熱減率
湿潤な空気が上下によく混ざるとできる(対流後の状態)。
対流中立
相当温位が鉛直に一定の状態。
乾燥中立
温位が鉛直に一定(標準大気では温位は1kmで3.3K下がる)。
気温減率 = 乾燥断熱減率
未飽和で上下によく混ざった状態
(乾燥空気の大規模な下降運動や対流混合による)
条件付不安定
上空ほど飽和相当温位が低い。
湿潤断熱減率 < 気温減率 < 乾燥断熱減率
鉛直流の方向によって対流の促進・抑制が変わる。
対流圏のほとんどは条件付不安定。
(湿潤断熱減率は約4~8℃/km、気温が低いほど乾燥断熱減率に近づく。乾燥断熱減率は9.8、標準大気は6.5)
顕在化の条件:
下層の空気塊を自由対流高度まで持ち上げる。
空気層を凝結が生じるまで持ち上げる
空気層が飽和している場合は湿潤絶対不安定。
周りの空気が未飽和なら、空気塊は自由対流高度に達した時に浮力を得る。
周りの空気が飽和していれば、湿潤断熱減率で上昇する空気塊は周囲より暖かくなる。
湿潤絶対不安定
大気成層(飽和状態)の気温減率 > 湿潤断熱減率
上下にわずかに振動するだけで浮力を得て湿潤対流が生じる。
湿潤絶対不安定な状態にある鉛直層を湿潤絶対不安定層(MAUL)と呼ぶ。
Moist Absolutely UnstableLayerの略。
豪雨の際にしばしば見られる。
・暖かく湿った空気が流れ込む梅雨前線や台風周辺
・夏の強い日射で加熱されて湿った空気が急上昇する時
潜在不安定
持ち上げる空気塊の相当温位 > 飽和相当温位(≧相当温位)
下層の気塊を乾燥断熱線に沿って持ち上げ、飽和後に湿潤断熱線に沿って持ち上げたとき、その気塊の温度が周囲の気温より高い。
顕在化の条件:自由対流高度まで空気塊を持ち上げる(外部強制力が必要)
潜在不安定ならば必ず対流不安定(持ち上げる層の相当温位 > 相当温位)。
(空気塊ではなく、厚みのある層が全体的に上昇し不安定が顕在化する可能性がある状態が対流不安定)
下層空気塊の相当温位が大きいほど、強い上昇流を起こしやすい。
10m/s以上の上昇流を持つ発達した積乱雲には355Kの暖湿気が流れ込んでいることが多い。
360K以上では上空の気温に依らず積乱雲が発達できる。
中層が乾燥していると対流が抑制される(発達できる500hPa相対湿度の目安は60%以上)。
上空の気温低下の要因
・寒気滞留(気圧の谷後面)
・上空の高渦位域(寒冷渦)の流入(気圧の谷前面など)
・上昇流による断熱冷却
対流不安定
上空ほど相当温位が低い。
空気層の上部ほど相当温位が低い状態(空気層内で上部が乾燥し下部が湿っている)
下層に暖湿気が流入し、上空に乾いた空気が来るときになりやすい。
顕在化の条件:大規模な上昇運動により厚みのある空気層全体が持ち上がる
(静的に安定で上昇流が起こらなければ何も起こらない)
大規模な上昇運動により厚みのある厚みの空気層全体を持ち上げると、
⇒ 空気層の上部ほど凝結が起こりにくく気温低下が大きい。
⇒ 空気層の上部と下部で気温差が大きくなり、不安定が顕在化する。
通常は対流不安定が顕在化する前に潜在不安定が顕在化する。
(前線面上を気層が持ち上げられても、上空の空気塊が低温化して潜在不安定が顕在化する)
上中層の気層だけが持ち上げられるとその領域のみで対流が発生する。
→ 下層からの深い対流は発生せず高積雲が発生する。
(乾燥)絶対不安定
気温減率 > 乾燥断熱減率
上空ほど温位が低い状態。
強い日射で地面が暖められたとき、冬の日本海に大陸から寒気が吹き出したときに下層で観測されることがある
等温位面・等相当温位面
雲分布との対応を見るには、等圧面天気図より等温位面天気図を見た方が良い場合がある。
凝結を伴わない空気塊は温位を保存する。
等温位面上で見ると、高度線により乾燥空気の上昇/下降を可視化できる。
凝結を伴う空気塊は相当温位を保存する。
下降する気流は等温位面で解析し、上昇する湿った気流は等相当温位面で解析すると説明しやすい。
ただし温位と気圧が1対1対応するのに対して、相当温位はそうではないので解析が難しい。
等温位面解析
等温位面上では、比湿・混合比、渦位が保存される(断熱の場合)。
ある程度の広がりを持った空気で潜熱解放があると、等温位面が下降する。
(小さな空気塊で考える場合は、浮力を得て上昇する)
蒸発冷却があると、等温位面が上昇する。
等温位面上で成層圏起源の空気を追跡できる。
一般的に対流圏では鉛直安定度が低く(温位の鉛直傾度小)、渦位の絶対値が小さい(≦2PVU)。
成層圏では鉛直安定度が高く(温位の鉛直傾度大)、渦位の絶対値が大きい(≧2PVU)。
成層圏側から傾斜した等温位面上を高渦位空気が斜めに下降してくると、安定度が低くなり渦度が大きくなる。
⇒トラフを強化する
例)上部対流圏の高緯度側から乾燥した空気が斜めに下降しながら低緯度側に進む。
下層の高相当温位空気の上に進むと対流不安定成層となり、その先端でシビアな現象が生じる。
暖候期の345K等温位面は1万m位の高度に対応。
高渦位域(寒冷渦)の前方のメソトラフの位置を確認。
メソトラフの前面で上昇流による断熱冷却が起こると不安定になる。
(例えば500hPa面の気温分布で確認する)
寒冷渦が真上に来ると上空に乾燥空気が流入することになり、対流が抑制される。
寒冷渦は衛星水蒸気画像の暗域として見える。
流線関数と速度ポテンシャル
流線関数と速度ポテンシャルを使って回転風(非発散風)と発散風(非回転風)に分けて考える。
低緯度では地衡風近似が成立しにくいため、等圧線解析よりも流線解析が有効。
流線関数の方が渦度よりも空間スケールが大きく、大規模な現象を把握しやすい。
熱帯域では高度の傾きが小さくコリオリパラメータも小さいため循環場の把握には流線関数の方が見やすい。
流線関数:収束発散のない流れにおける流線を表す関数。回転成分を見る。
負が低気圧性循環。
回転風は流線関数の等値線に沿い、速度は流線関数の傾度に比例する。
流線関数が一定の線が流線になる。変化量が大きいほど流速が大きい。
渦度は流線関数の分布に対応する。
大気大循環やジェット気流など、大規模な流れの回転を見ることに適している。
(渦度は比較的小規模な回転の強さを見ることに適している)
速度ポテンシャル:発散風を表現するスカラー場。勾配によって発散・収束成分を定量化する。
発散風は速度ポテンシャルの等値線に垂直。
速度は速度ポテンシャルの傾度に比例する。
水平発散は速度ポテンシャルの分布に対応する。
モンゴメリー流線関数
乾燥静的エネルギーに等しい。単位はm2/s2
等温位面天気図ではモンゴメリー流線関数の等値線で地衡風を表現できる。
(モンゴメリー流線関数により、等圧面でジオポテンシャル高度を使うのと同様の表現が等温位面解析でも可能になる)
仮温度(Tv)
混合比qの湿潤空気と同じ気圧・密度を持った乾燥空気(混合比0)が持つべき温度(通常はほぼ気温に等しい)。
湿った空気の浮力を乾燥空気と同じ密度になるよう表現した時の温度。
湿った空気は乾いた空気より軽い。その軽さを補正する見かけ上の温度。
仮温度を使うと密度の代わりに温度で考えることができる(密度に対応するのは気温や温位ではなく仮温度や仮温位)。
仮温位: θv = (1 + 0.61qv)θ
700hPa上昇流
700の上昇流/下降流は500hPaの正/負渦度移流と下層の暖気/寒気移流に関連する。
(オメガ方程式の近似的な解釈)
700hPa上昇流の要因となり得る要素:
300hPaのトラフやジェットに対応する発散域
500hPaの正渦度移流
850hPaの暖気移流
Qベクトル
大気の鉛直流を解析するための道具。水平温度移流の変化を表す。
どこで鉛直流が発生しやすいかを見つけるためのベクトル。
オメガ方程式の強制項(鉛直運動の原因)を視覚的に表現したもの。
気圧面上の水平温位傾度の時間変化。準地衡風的な前線強化を示す。
上昇/下降流はQベクトルの等圧面上の収束/発散で表現できる。
Qベクトルの収束は総観場の上昇流を励起する。大気不安定なら対流発達。
700hPaの上昇流には対流による上昇流も表現され、対流の発生・強化に適した総観場か判断できない。
Qベクトルが暖気側に向くと前線強化
前線強化(水平温度傾度増大)で暖気側のQベクトル収束(上昇)、寒気側で下降:アナフロント
(暖気側でQベクトルが収束、寒気側で発散、下層で寒気側から暖気側へ向かう非地衡風運動が生じ、前線が強化される)
Qベクトルが寒気側に向くと前線弱化
暖気側でQベクトル発散(下降)、寒気側でQベクトル収束(上昇):カタフロント
水平温度傾度が大きくなると気圧傾度力が大きくなり、コリオリ力と釣り合いが取れなくなる。
上では寒気側への水平流、下では暖気側への水平流、暖気側で上昇流、寒気側で下降流の循環ができる。
(前線が強まる場合は地衡風鉛直シアーが増大して温度風バランスを回復する)
総観規模での水平温度傾度がない領域でQベクトルや大きな収束が計算されている場合はノイズを疑う。
(総観規模~メソαスケールまで。小さいスケールの運動に関する表現には対応しない)
乾燥断熱減率
9.8℃/km
重力加速度と定圧比熱に依存しわずかに変化するが、影響が小さくだいたい一定とみなせる。
湿潤断熱減率
4〜8℃/kmくらい(条件により変化)。
潜熱の大きさに影響されるため、空気中の水蒸気量が多いほど小さい。
エンタルピー
全熱量とも呼ばれる。
エンタルピー = 内部エネルギー + 圧力 × 体積
内部エネルギーは物質そのものが持つエネルギー
発熱反応はエンタルピーが減る。
吸熱反応はエンタルピーが増える。
接地境界層
数十mの厚さ。
鉛直勾配が大きく対流不安定。
乱流による鉛直輸送量がほぼ一定。
エクマン境界層
地表面摩擦の影響があり、摩擦力と気圧傾度力とコリオリ力が釣り合う。
数10mまでが接地境界層、数10m~約1000mがエクマン境界層、その上は自由大気。
下層に高相当温位空気が流入すると対流不安定成層が強まり、対流が起これば成層が中立化する。
下層収束は上昇運動の結果として生じることも少なくない。
(下層収束が上昇流の原因とは限らない)
対流混合層
日中に厚さが増す。乱流による鉛直混合により平均場の鉛直分布がほぼ一様。
夜混合層が薄くなると下層風が強まることがある。
標準大気の気温減率を6.5℃/kmとすると、温位減率は3.3K/km
陸上では地表付近との気温差により対流混合層が発達する。
海上では海面付近との水蒸気量の差(水蒸気浮力)により対流混合層が発達する。
九州の南西海上の場合、対流混合層の厚さ(蒸発する海の水蒸気を蓄える気層に対応)は1km程度
下層水蒸気の蓄積には、高い海面水温・強い下層風速・収束も影響する。
エントレインメント層
強い温度勾配。
混合層が発達する際に自由大気の空気塊が取り込まれる。
大気境界層
接地境界層~エントレインメント層
一般的に地衡風より風が弱い。
温位フラックスの極小が大気境界層の上限(エントレインメント層の中: 1~2km)
z座標系/p座標系
東向きは x(u)、北向きは y(v)
u > 0 は西風、v > 0 は南風
南風は南から北に向かって吹く風(英語の風向は日本と同じだが、風以外は逆向き)。
z座標系では上向きが正 z(w)
p座標系では上向きが負 -p(-ω)
p座標系はz座標系より運動方程式と連続の式が簡単になる(密度を考える必要がない)。
z座標系からの変換に静力学平衡近似を用いるため、メソ気象ではz座標系を使う事も多い。
ω(鉛直p速度)
p座標系での鉛直方向の速度。dp/dt。
鉛直p速度は下降流が正。単位はhPa/h
総観規模現象での鉛直速度は1cm/sのオーダー(鉛直p速度では3.6hPa/h)。
鉛直p速度100hPa/h以上はメソスケール現象を示唆。
大規模前線に伴う上昇流・下降流は10cm/sのオーダー(例:上昇流0.4m/s、下降流0.2m/s)。
活発な対流では数m/s以上もある(例:5m/s )。
プリミティブ方程式
大気・海洋の大規模な動きを表現するための方程式。
運動+質量保存+エネルギー保存+気体の性質を統合。
運動方程式(風などの動き)、連続の式(質量保存)、熱力学方程式(温度変化)、状態方程式(圧力・温度・密度の関係)で構成されている。
ナビエ・ストークス方程式よりも計算が簡単で大規模な気象現象を効率的に表現できる。
静水圧近似により鉛直方向の運動方程式を単純化するため、小規模な現象では精度が落ちる。
ナビエ・ストークス方程式
流体が時間とともにどのように動くかを表す。
流体にかかる力(圧力、粘性・摩擦、重力などの外部力)で流体がどう加速するかを表す。
運動方程式
ナビエ・ストークス方程式の簡略版。
静力学平衡・静水圧平衡
空気層の上下の気圧差は、空気層に働く重力と釣り合っている。
上下方向の運動が遅い時、慣性力を無視して重力とのバランスで近似する。
鉛直加速度の小さい大規模な気象現象では静水圧近似が有効。
連続の式
質量保存の法則。密度と流れの関係。
ある領域内の質量変化率は、そこを通過する単位時間・単位面積あたりの質量流量に等しい。
熱力学方程式
大気の温度変化。
温度変化 = 加熱 + 断熱変化
気体の状態方程式
気体の圧力・温度・密度(体積)の関係式。
p = ρRT
ブジネスク方程式系
内部重力波などの現象を扱う時に使われる流体力学の近似モデル。
密度変化が小さい流体の中で、重力の影響を残しつつ計算を楽にするために幾つかの近似をした方程式。
運動方程式、連続の式(質量保存)、温度や密度の輸送方程式の3つの式で構成されることが多い。
密度の変化を小さいものとして扱う(重力が関わる浮力項だけに影響)
音波を無視できる
準地衡風近似
地衡風近似をもう一歩進めた近似。
地衡風の時間変化としての加速度で近似。
以下の状況で有効な近似。
コリオリの力が強い(中緯度以上)
水平スケールが大きい(数百km以上)
高緯度・大スケールではコリオリ力と気圧傾度力がバランスし、加速度を無視できる
→ ロスビー数が1より十分に小さければ準地衡風近似が有効
鉛直運動が小さい
慣性力が小さい(加速度が小さい)
等圧線の曲率が大きいと加速度が大きくなるため低気圧の中心付近には適用できない
ロスビー数
運動の慣性の強さと、コリオリの力の強さを比較するための無次元数。
風や流れがどのくらい自転の影響を受けるのかの指標。
ゆっくりで大規模な流れではコリオリ力の影響が大きく、ロスビー数が小さい。
(ロスビー数が1より十分に小さいと地衡風近似が成り立つ)
速くて小規模な流れではコリオリ力の影響が小さく、ロスビー数が大きい。
(低緯度でもコリオリパラメータが小さいため、ロスビー数が大きくなり地衡風バランスから外れやすい)
ロスビー数が1くらいの時、コリオリ力と慣性力が同じくらい重要。
ロスビー数が1より十分に小さければ地衡風のバランスが成り立つ。
中緯度の総観規模現象では0.1程度。台風・低気圧・ジェット気流はロスビー数が小さくコリオリ力の影響が大きい。
慣性力
加速度に逆らう見かけの力。
コリオリの力は回転による慣性力。
遠心力は回転による外向きの力。
渦度方程式
流体の回転運動におけるバランスを記述する方程式。
渦度の時間変化や、変化を引き起こす要因を表す。
上昇流や低気圧の発達を予測できる。
渦度の時間変化+風の動きによる渦度の移動+風の発散・収束の影響=外部から加わる力
風の動きによる渦度の移動:移流項
風の収束で渦度は強くなり、発散で弱まる
外部から加わる力(強制項):温度差や圧力勾配、コリオリ力による渦度の変化
準地衡風渦度方程式
渦度の変化を解析する方程式。
渦度の変化は、水平移流による渦度の移動と、収束・発散による渦度の強化・衰弱で生じる
(渦度変化 = 移流効果 + 伸縮効果)
地衡風近似を使って加速度項(慣性力)を無視し、渦度方程式を簡略化したもの。
風による渦度の移動:絶対渦度の移流。地衡風による水平輸送
収束・発散:鉛直速度の変化による渦管の伸縮
低気圧やジェット気流など大規模な現象の解析に使える
相対渦度の時間変化 = ー準地衡風による絶対渦度移流 ー(絶対渦度 * 発散)
収束で渦度は増大し、発散で減少する。
準地衡風オメガ方程式
気圧座標系での鉛直速度ωを診断する式(予報はできない)。
ω(オメガ)は気圧座標系の鉛直速度。負のとき上昇流。
準地衡風近似に基づき、大気の鉛直運動の原因を求める。
(上昇流が起きているのは、ここで渦度移流または温度移流が起きているからと定量的に教える式)
渦度移流、温度移流、摩擦、非断熱加熱の効果を考慮する。
鉛直運動は渦度移流(主に上層)と温度移流で励起される。
700hPaの鉛直運動は、500hPa渦度移流と下層の温度移流で励起される。
上昇流は上層正渦度移流と下層暖気移流で励起される。
下降流は上層負渦度移流と下層寒気移流で励起される。
「上昇流(鉛直流)」は「相対渦度移流の鉛直変化」と「温度移流」によって強制される。
上層で渦度移流が強く暖気移流なら上昇流が強まる。
前線形成関数
F:前線形成関数
F > 0 で水平温位傾度が増大。前線が強まる
前線の強さの時間変化は、合流項 + シアー項 + 立ち上がり項 + 非断熱項
で説明される。
合流項とシアー項は水平温位傾度と水平運動による。
合流項:
前線に垂直な風による合流で前線は強まる
前線に平行な風がぶつかると前線に垂直な方向に発散し、前線は弱まる
立ち上がり項は鉛直運動による。
通常温位は上層ほど大きい
⇒ 上昇流で低温位空気が上に運ばれ、下降流で高温位空気が下に運ばれる
⇒ 水平温位傾度ができる
相対的な寒気の上昇と暖気の下降により前線が強化される
非断熱項は非断熱加熱(日射による加熱など)による
非断熱加熱・冷却に差があると前線が強化されうる
(暖気側で日射のあって寒気側に雲がかかっている場合など)
ペターセンの前線形成関数
前線形成関数のうち、水平運動について一般化したのがペターセンの前線形成関数
前線が時間とともにどのくらい強化・弱化するか表す。
前線の形成や強化を風と温度場の相互作用から評価する。
温位や気温の水平勾配が強くなれば前線も強くなる。
傾向方程式
ジオポテンシャルの時間変化を表す予報方程式。
ジオポテンシャルの変化傾向(低気圧やトラフ・リッジの変化)は渦度移流と温度移流で説明できる。
地上低気圧や上層トラフ・リッジの移動は基本的に同じ等圧面上の渦度移流で生じ、強度変化は上下の層の温度移流で生じる。
渦度移流:絶対渦度の水平移流によるジオポテンシャルの高度変化
地上低気圧・高気圧、トラフ・リッジの移動は等圧面上の渦度移流で生じる
(渦度の正・負の移流により、擾乱が移動する)
力学的な鉛直運動の引き金となる
傾向方程式の渦度移流項
正渦度移流 → ジオポテンシャル下降
負渦度移流 → ジオポテンシャル上昇
トラフ後方にジェットストリークがあるとトラフは深まる
トラフ前方にジェットストリークがあるとトラフは浅くなる
温度移流:着目している高度の上下における水平温度移流の差によるジオポテンシャルの高度変化
地上低気圧や上層トラフ・リッジの強度変化は上下層の温度移流で生じる
大気の構造変化を通じてジオポテンシャルを変える
傾向方程式の温度移流項
層厚の移流が上で大きく下で小さい → ジオポテンシャル下降
層厚の移流が下で大きく上で小さい → ジオポテンシャル上昇
700hPa付近で暖気移流が極大となる場合、500hPaのジオポテンシャルは上昇し、1000hPaのジオポテンシャルは下降する
暖気移流の上はリッジが強まり、下は気圧が下がる
(中下層の暖気移流により、下層低気圧と上層リッジが強まる。低気圧前面で起こる)
寒気移流の上はトラフが強まり、下は気圧が上がる
(中下層の寒気移流により、下層高気圧と上層トラフが強まる。低気圧後面で起こる)
その結果、発達中の低気圧はトラフの軸が西に傾くように見える。
上層トラフの西側にサーマルトラフがズレているとトラフは強まる
(トラフに対してサーマルトラフが西側にずれるのは、傾圧不安定波動の構造の特徴)
準地衡では、
高度の時間変化 = ー相対渦度移流 ー 温度移流
∇(ナブラ)
変化の方向や速さ(勾配)を表す。
∇Tなら温度の勾配、∇・Vなら発散と収束(単位体積あたりの流出)、∇×Vなら回転。
・は内積、×は外積。∇(ナブラ演算子)は微分演算子のベクトルとみなせる。
内積は二つのベクトルからスカラー値(数値)を生成する。
外積は二つのベクトルから新しいベクトルを生成する。
∇×Vのベクトルの大きさは回転の強さ、ベクトルの方向は回転軸の方向を表す
∇pTなら、等圧面上での温度の水平勾配。
V・∇pTなら、水平方向の温度移流(正は暖気移流)
∇・(ρv)なら、単位体積あたりの質量の時間変化率
∇2ωなら、鉛直流の水平方向への広がり。
エクスナー関数 Π(p)
エクスナー関数。
気圧を温位に変換する時に使う無次元の関数。
高度・気圧の変化による温度補正をする係数。
気圧が低くなるとエクスナー関数も小さくなり、温位は大きくなる。
1000hPaなら1で通常0〜1の範囲。
ソーヤ・エリアッセン循環
地衡風による温度移流に伴って生ずる二次的(補助的)な鉛直循環。
大気が熱的・力学的均衡を保つために発生する。前線の強化・弱化に影響する。
例:前線付近で地衡風により温度移流が起こった結果、前線に沿って上昇・下降流を含む循環が発生する。
直接循環・間接循環
直接循環は加熱によって直接的に起こる大気の循環。
ハドレー循環は直接循環。
間接循環は加熱された空気の上昇によって起こる気圧差や風の動きにより、間接的に現れる現象。
上昇流・下降流に伴う風の水平移動。熱帯から高緯度へのエネルギー輸送。
総観スケール・メソスケール
総観スケールは1000km以上で1日以上の現象
目安は水平10m/s、鉛直0.01m/s(1cm/s)
エマグラムでは、どのような大規模運動の結果その状態となったかを考える
(鉛直運動があるときは、乾燥断熱か湿潤断熱運動のどちらかが生じている)
メソスケールは1km以上で1時間以上の現象
エマグラムでは、環境場の鉛直安定度の中で空気塊の運動により何が起こるかを考える
台風・前線はメソα(200-2000km)
前線に伴う上昇・下降流は0.1m/s(p座標系では36hPa/h)
前線で数m/sの鉛直運動が生じるのは、強い寒気の先端で密度流の性質を持つ幅数kmの領域のみ
積乱雲群はメソγ(2-20km)、寿命は1~3時間くらい。
活発な対流は1-10m/sのスケール。積乱雲の寿命は0.5~2時間くらい。
よく使われる略語
U, u:東西風
V, v:南北風
W, w:鉛直風
Ω(オメガ):地球の自転角速度。7.292×10-5 s-1
φ(ファイ):緯度
f:コリオリパラメータ。惑星渦度
β(ベータ):ベータパラメータ。惑星渦度の南北移流
OMG:鉛直p速度
PSEA:海面気圧
PGF:気圧傾度力
P, p:気圧
Z:ジオポテンシャル高度
z:高度
Φ(ファイ):ジオポテンシャル
T:絶対温度
t:気温
Tv:仮温度
Td:露点温度
q:比湿
θ(シータ), PT:温位
θe, EPT:相当温位
θ*e:飽和相当温位。
e:水蒸気圧
es:飽和水蒸気圧
RH:湿度
TTD:湿数
Z:高度
ζ(ゼータ), VOR:相対渦度
ζa:絶対渦度(相対渦度+惑星渦度)
ρ(ロー):密度
ψ(プサイ):流線関数
Δ(デルタ):変化量、差
∂(デル):偏微分(∂/∂t)は他の変数を固定して、時間だけの変化を見る。
場所を固定して観察する、その場に立って見ている視点(オイラー的)
d:全微分(d/dt)は空気塊の時間変化。時間に対する変化の合計。
動く物体にくっついて観察する視点(ラグランジュ的)。
∇(ナブラ):変化の方向や速さ(勾配)を表す。
χ(カイ):ジオポテンシャル変化傾向。∂Φ/∂t
V(太字):空間の各点にベクトルが対応している場。ベクトルは大きさと向きを表す矢印。
Vg:地衡風
Vgr:傾度風
VT:温度風
g:重力加速度。ジオイド面(ほぼ平均海面)での重力加速度。9.80665 m/s2
R:気体定数
Rd:乾燥空気の気体定数。287 J/(K・kg)
Ro:ロスビー数
Ri:リチャードソン数
N(N2):ブラント・バイサラ振動数
Fr:摩擦力
Co:コリオリ力
Ce:遠心力
Γd:乾燥断熱減率
Γm:湿潤断熱減率
γ(ガンマ):気温減率
湿球温度(断熱的湿球温度、偽湿球温度)
持ち上げ凝結高度から湿潤断熱線に沿って降ろした時の温度。
雨滴等の蒸発により最大限低下したときの温度。
下層ジェット
夜に高さ数十m~数百mくらいで風が強まる(地上風は夜に弱まる)。
自由大気では地衡風(気圧傾度とコリオリ力が釣り合う)。
エクマン境界層内では気圧傾度力とコリオリ力と摩擦力の釣り合い。
摩擦力が大きいほど風が弱まる。昼は混合層内の対流が摩擦を強める。
放射冷却で地表面近傍に安定成層が形成されると鉛直方向の運動量輸送が減り摩擦の影響も減る。
海陸風
海風による循環の厚みは500~1000mくらい。風速は5m/sくらい。
陸風は厚み200m程度で2m/sくらい(昼間ほど気圧差が大きくない)。
(斜面風が加わるため陸風はもっと強く感じる)
海陸風は気温変化の鉛直積分に比例する。
斜面風は気温変化量に比例する。海陸風よりも早い時間に吹き始める(日中は谷風、夜間は山風)。
季節によっても変わり、夏の方が海陸風が顕著。
海風前線(海からの寒気の流入: 夏)の進行は昼に一旦遅くなり、夕方に速くなる。
谷風により水蒸気が山に運ばれ、夕方に可降水量が増加する。
フルード数
空気の運動エネルギー(風速)が山岳上部の位置エネルギーより大きいと滑昇する。
山岳に向かって流れる空気が山を乗り越えるか迂回するかは山の高さと風速によって決まる。
運動エネルギー/位置エネルギー = Fr2
Fr = u/Nh ≃ 0.2u(h:500m、N≃0.01s-1のとき)
u: 風速、N:Brunt-Vaisala振動数(浮力振動数)、h: 山の高さ
Fr < 1.0 山・島を迂回(迂回流の典型がカルマン渦)
Fr > 1.0 山を滑昇(500mの山なら5m/s以上、1000mなら10m/s以上で滑昇)
甑島ラインや長崎ライン(地形によってできるライン状の降水)の発生条件
850hPa(鹿児島)で南西5~25m/sが12h以上持続
おろし風
山から吹きおろす強風。
逆転層・臨界層(風が0になる層)の下で起こりやすい。
地峡風
地峡に沿った総観場の気圧傾度が大きく、下層に冷気があると起きやすい。
地峡の出口で最も風が強まる。
フェーン
多くはドライフェーン。
純粋な湿ったフェーンは2割程度で複合フェーンも多い。
重力流
密度差による流れ。
春一番
海難事故を伴うことがあり、壱岐の漁師が「春一」と呼んでいたことが由来とされている。
(春一番は穏やかな春の訪れをお知らせするものではないそうです)
以下の条件が揃ったときに気象庁から発表される(条件は目安※):
① 立春~春分(2/4頃~3/21頃)
② 日本海で低気圧が発達
③ 最大風速8m/s以上(10分平均の風速)で南寄りの風が吹く
④ 気温が上がる
※地域によって発表の目安が異なる。
① 立春と春分は年によって違う(2025年は2/3と3/20)
② 低気圧の有無にこだわらない地域もある
(九州は低気圧が無くても発表される。関東は日本海に低気圧があることが条件)
③ 風速は7m/sや10m/sの地域もある
(九州北部は7m/s以上、関東や九州南部は8m/s以上)
④ 気温は「前日より上がる」「前日比+3℃以上」「平年より高い」など
(関東や九州北部は「前日より上がる」、九州南部は「気温が上昇」と公表されている)
スコールライン
マルチセル型ストーム(積乱雲群)が冷気外出流の先端にライン状に並ぶ降水システム。
ガストフロントに付随して時速数十kmの速度で移動する。
降水域は風向きに直交して広がり、比較的早く通り過ぎる。
中緯度のスコールラインの一例
ガストフロントで強風が起こるとともに気圧が上がる(①)。
30分程度強い雨が降り(②)、その後30分程度雨が止む(③)。
その後2時間程度層状性の雨が降り(④)、その後一時的に気圧が下がる(⑤)。
①メソハイ(対流性降水が起こる場所で雨滴が蒸発して冷やされた結果、気圧が上がる)
②暖気が寒気にぶつかって上昇するしゅう雨性降水
③遷移帯(①の補償流としての下降流)
④幅数十kmの層状性降水
⑤ウェークロー(下降流に伴う断熱圧縮で昇温した結果、気圧が下がる)
ブライトバンド:
0℃前後の雪から雨滴への融解層。
見かけ上粒子のサイズが大きくレーダー反射強度が強くなる。
中緯度のスコールライン後方で層状性降水がある領域に見られることがある。
バックビルディング
積乱雲が進行していくその後ろ側で、繰り返し新しい積乱雲が発生する状態。
降水域は風下に広がり、セルの発生源が停滞しがち。
日本ではバックビルディング型と破線型(局地前線上で発達する)が多い。
例:下層は南西風、中層は西風、積乱雲や積乱雲群は東北東に進む。
(積乱雲と積乱雲群の移動ベクトルは下層から中層の風の影響を強く受ける)
バックアンドサイドビルディング
積乱雲が進行していく後方や側面で繰り返し新しい積乱雲が発生する状態。
降水域は扇状に広がる(下層の風上側に新たなセルが発生)。
中層風と下層風が直交(強い暖気移流)。
セルの移動方向は下層風向と中層風向の中間。
ダウンバースト
積乱雲から発生する強い下降気流によって起こる突風。
下降気流が地面にぶつかって突風が周囲に広がる。
強い下降気流が発生する要因
要因1:降水粒子が落下する際に周囲の空気を引きずり下ろして下降気流が強まる。
要因2:積乱雲に中層の乾燥空気が流れ込むと雨滴が蒸発する(氷晶の融解もある)。
蒸発が起こると気温が下がり、下降気流を生じる。
ガストフロント
積雲や積乱雲からの冷気外出流の先端。
上空にアーク状雲が出ることがある。
冷気外出流の要因:
積乱雲から降水粒子が落下する際に周囲の空気を引きずり下ろす。
下降しながら蒸発して冷却される効果も加わり、下降流が強まる。
放射霧(気温の低下による霧)
晴れて風の弱い夜間に放射冷却により気温が下がることで発生する。
例:盆地で深夜から日が昇り始める頃に発生する霧
日が昇って気温が上がると解消する。
移流霧(暖かい空気の流れ込みによる霧)
暖かい空気が冷たい地面や海面上に流れ込んで冷やされることで発生する。
例:北海道付近の海上でよく見られる海霧
長く続きやすい。
消散の条件
・気温が上がり相対湿度が下がる
・乾燥した空気が流れ込む
・風が強まる
・風向きが変わり暖かい空気が流れ込まなくなる
混合霧(暖かい空気と冷たい空気の混合による霧)
湿った暖かい空気が乾燥していない冷たい空気と混合して発生する。
例:冬の川に接した相対的に暖かい空気に冷たい空気が流れ込んで発生する川霧(沿岸の海でも起こる)
暖かい水面上に冷たい空気が流れ込んでできる霧を蒸気霧ともいう(冷たい空気の流れ込みによる霧)。
消散の条件
・空気が混ざる状況がなくなる
・気温が上がり相対湿度が下がる
・風が強まる
・乾いた空気が流れ込む
前線霧(湿度の上昇と気温の低下による霧)
暖気が滑昇してできた雲から降った雨が、下の冷たい空気の中で蒸発して湿度が上がり、気温が下がると発生する。
例:温暖前線前方の寒気側(上に暖気)で風も雨も弱い時にできる霧。
消散の条件
・前線が移動して湿潤空気の供給がなくなる
・雨が止んで地表の湿度が下がる
・気温が上がり相対湿度が下がる
・風が強まる
上昇霧・滑昇霧(断熱膨張による冷却による霧/雲)
山を滑昇するなどして上昇した空気が断熱膨張によって気温が下がってできる霧。
山にかかる雲。
例:山道を登っている時に出くわす霧。
熱帯低気圧発生の必要条件
海面から60m程度の深さまで26℃ある
表面だけでは海水が混合されて海面水温が低下する
中層700hPaで相対湿度が高い
乾燥していると対流が持続できない
条件付き不安定成層
対流の発生に必要
下層で相対渦度が大きい
水平収束で渦が強まるには始めにある程度の相対渦度が必要
水平風の鉛直シアが小さい
直立した構造を維持するため
鉛直シアが小さ過ぎると渦が移動しないため、同じ場所の海水が混合されて海面水温が低下する
赤道から緯度5°程度離れている(これより近くで発生することもある)
コリオリの力が必要
TCHP(海洋貯熱量)
海水の密度 ×(海水温℃ - 26)を海水温26℃の深さまで積分して定圧比熱を掛けた値。
海面水温が26℃以下のときは0となる。
台風発達の目安は40kJcm-2以上。
ITCZ(intertropical convergence zone)
熱帯収束帯。
北半球側の北東風とに南半球側の南東風による下層収束線。
ITCZ上を波動が伝播して台風の発生に繋がることがある。
・赤道ケルビン波:収束・発散が赤道上で生じる。東進する。
これ自体での台風発生は少ない。赤道ケルビン波の前後で赤道ロスビー波が励起されることがある。
・赤道ロスビー波:赤道を挟んで南北対称に上昇流域が発生する。西進する。
・混合ロスビー重力波:偏差が赤道を挟んで互い違いに現れ、西進する。
混合ロスビー重力波に伴う積雲対流がITCZに沿って西進しながらモンスーントラフで北上し、台風の発生に繋がることもある。
TUTT(tropical upper tropospheric trough)
中部太平洋から北西太平洋の低緯度(フィリピンの東)へのびる上層トラフ。
上層発散が生じ、熱帯低気圧の発生を助ける。
北緯20°付近でTUTTによる熱帯擾乱の発生が多い。
TUTTの影響で通常よりも高い緯度で熱帯低気圧が発生することがある。
(中緯度でできた寒気核構造の低気圧が熱帯大気圧化することもある)
モンスーントラフ
太平洋西部の赤道付近(フィリピン付近)の季節的な西風によるITCZの変形と降水強化による。
(低緯度の偏東風との間に下層収束とトラフが生じる)
モンスーントラフ付近では熱帯低気圧の発生や移動が生じやすい。
モンスーン渦・モンスーンジャイア
主に盛夏期に北西太平洋に生じて2週間程度持続する大規模な渦。
中心付近や東側で熱帯低気圧が発生しやすい。
マッデン・ジュリアン振動
30~60日の周期で赤道沿いに東進して地球を一周し、台風の発生にも影響する。
(個々の積乱雲は西進するのに対して大規模な積乱雲群が東進する)
この影響で台風が短期間に複数発生したり、1か月ほど発生しなかったりすることがある。
マッデンとジュリアンは人の名前。
台風の温帯低気圧化
台風が温帯低気圧に変わる時のパターン例
・成層圏起源の高渦位空気が中層の高度に達する深い圏界面の折れ込みが元台風の上空に乗り上げる
→ あまり弱まらずに閉塞した温帯低気圧のような形になる。
・高渦位空気の南下の小さいトラフに関連して温低化する
→ 閉塞していないオープンな前線を持つ低気圧となる。
・別の低気圧が発達した後の寒気移流場に台風が進んで温低下する
→ 既存の寒冷前線帯に台風が衰弱しながら吸収されるような形になる。
台風による高潮
吸い上げ効果: 1hPaの気圧降下で約1cm海面が持ち上がる。
吹き寄せ効果: 風速の2乗に比例し、吹走距離が長く水深が浅いほど水位が上がる。
(風上が開けた水深の浅い湾は危険)
通常は吹き寄せ効果 > 吸い上げ効果
高潮
大潮:
月と太陽の引力が同じ方向に働き、潮位の差が大きくなる。
新月と満月の日の2日前から4日後まで。
小潮:
月と太陽の起潮力が90°ずれることで打ち消しあう。
半月の頃。
潮位の季節変化:
8~9月頃が最も高く、3~4月頃が最も低い。
吸い上げ効果:
気圧が1hPa下がると水位は約1㎝上昇する。
沿岸を右に見る風が吹き続けると潮位が上がる(数cm~20㎝程度)
海水温が1℃(28℃くらいで100mの深さまで)上昇すると2cm潮位が上がる
沿岸波浪モデル
波高を計算するための風はGSMを使用。
追い風が弱いときや逆風のとき、うねりの波高が過小に計算される。
海峡のように地形の影響を受けやすい場所では吹き抜けによる風浪が過小に計算される。
主に低緯度で吹走距離が長いと波高が過大に計算される。
動きの速い擾乱は過剰な補正が入ることがある。
(解析時刻±3時間以内は同時刻で同化されるため)
GSM: 全球モデル
約13km格子(実効65-100km), FT132/264
弱い降水を前線の周囲と北側に広げすぎたり、前線近傍の降水量が少なすぎることがある。
海上に過剰な曇りを表現することがある。
(見分け方)
・上中層雲がほとんどない
・925hPaが乾燥(層積雲スキームが生成する雲の直上の高度)
・主に海上に分布(陸上に出ることもある)
・MSMでは晴れ
GSMでは地形の再現度が低いため、海峡で吹く風の予想が実際より弱いことがある。
MSM: メソモデル
5km格子(実効25-40km), FT39/51
積雪・海面水温の変化は考慮しない。
前線北側の弱い降水域が狭すぎることがある。
地形や収束など強制力が強い時、前線付近に強い降水を集中させすぎることがある。
熱雷(不安定性降水)は降水が過小になりやすい。
低気圧を過発達させることがある。
[判断の目安]
・低気圧中心に強雨域が集中し、局所的な強い上昇流が上層までのびる。
・中心の上昇流が相対的に暖かい。
風はGSMMSMともに15m/s以上は精度が落ちる。MSMは15~20m/sを超えるとGSMより精度が落ちる。
放射冷却で気温を低く予想し過ぎることは少ない。
LFM: 局地モデル
2km格子(実効10-15km), FT10
潜在不安定な成層状態からの対流表現、地形性降水に強み。
積雪・海面水温の変化は考慮しない。
降水量が過大になりやすい。
(積雲対流を弱める現象(エントレインメントなど)を表現できないため)
気温ガイダンスの補正項
Tmdl:地上気温
数値予報モデルが出力する気温。
Bias:バイアス
観測値とモデル出力の系統誤差(偏った傾向が見られる誤差)を補正するための定数項。
Uw, Ue, Vs, Vn:西風成分、東風成分、南風成分、北風成分
風向きによる地域独特の影響を補正する。
フェーンや海風、寒気・暖気移流などに関係する。
FF:地上風速
風の強さによる補正。
CLS:中層雲と下層雲の雲量
雲の量による補正。
日射量や放射冷却に関係する。
Rain:3時間降水量
日射量の減少などに関係する。
Laps:下層気温減率
大気の安定度の指標。フェーンや逆転層の影響もある。
DTemp:前日のモデル地上気温との差
数値予報の苦手な現象
水平規模の小さな現象: 熱雷、メソ低気圧
地形の影響: 島曇り、局地風
重力流の性質の強い現象: 下層寒気移流の強い寒冷前線、シア―ライン
低層の成層状態の影響: 低層に滞留する冷気層、収束線の形成、沿岸前線
沿岸前線: 冷たい陸地と暖かい海面水温の境界で、海岸線に沿って生じる前線
放射冷却、冷気層、海風、フェーン
放射過程は波長への依存性が複雑なためモデルでは簡略化されている。
晴れた日の朝は予想以上に気温が下がる傾向がある。
数値予報と実際の天気を見比べていて何となく思うこと(個人の感想です)
・正渦移流が強い時は数値予報の雨の予測が少なめな気がする(予想以上に強めに降りやすい)。
(上層の発散が強い時も同じ傾向がある気がする)
・発達中の低気圧が数値予報より早く通り過ぎがちな気がする(予想以上に早く東進しやすい)。
・冬型の気圧配置で寒気移流のとき、数値予報の雪の予測が少なめな気がする(予想以上に雪が降りやすい)。
解析雨量
レーダーの観測誤差
0℃の融解層でレーダー反射強度が強まることがある(ブライトバンド)
上空エコー(途中で蒸発)
解析雨量の注意点
強い雨に対して1mm/h単位の精度はない。局所的な激しい雨の精度は落ちる。
高度2km以下の降水は捕捉しきれない。位置ずれもある(風に流される)。
実際より大きくなることがある。
解析積雪深と降雪短時間予報
背が低い雪雲はレーダーでとらえにくいため、モデルの降雪予測が過少になる。
地上気温が1~3℃のときはちょっとした気温差で積雪の量が大きく変わるため、予測の誤差が大きくなりやすい。
雪が風に流される効果は考慮されていないため、風が強い日は予測の精度が落ちる。
降雪短時間予報は5km四方を平均した値なのでピンポイントの積雪量とは一致しない。
降水短時間予報
地形と直前の発達・衰弱は考慮する。
FT1~3: 実況の比重が大きい(急発達に弱い)
FT4~FT6: 徐々に数値予報の比重が大きくなる(広く弱く表現される傾向)
FT7~15: MSMとLFMの組み合わせ
降水ナウキャスト
FT1まで5分毎。
新たに発生する降水は予測しない。
地形による発達・衰弱は考慮する。
NusDas
Numerical weather prediction Standard Dataset System
数値予報格子点データを保存するための気象庁独自のデータ形式。
データの基本形式はディレクトリ。水平2次元データ。
ディレクトリ(.nus)の中にデータセットと定義ファイル(.def)が入っている。
GRIB2
GRidded Binary
世界気象機関の基本システム委員会によって標準化された気象データを保存するためのデータ形式(第2版)。
データの基本形式はファイル。水平2次元データ。
各データの位置を示すインデックスがないため、データを先頭から探す必要がある。
通常、データセット名・初期時刻・対象時刻がファイル名に記載される。
NetCDF
Network Common Data Form
UCAR(アメリカの大気研究大学共同体)によって開発された多次元配列を保存するためのデータ形式。
データの基本形式はファイル。任意の次元データを扱える。
参考資料
気象庁
気象学の教科書
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/expert/index.html
数値予報解説資料集
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/nwpkaisetu/nwpkaisetu.html