FXFE5782(FXFE5784・FXFE577)の読み方

FXFE5782とは、850hPa~500hPaの等圧面天気図を組み合わせた4面の天気図です。
気象庁が1日2回更新しています。
4枚の図のうち上の2枚は500hPa面の気温と700hPa面の湿数(気温-露点温度)を重ね合わせた図です。
下の2枚は850hPa面の気温と風向・風速、700hPa面の上昇流(鉛直P速度)を重ね合わせた図です。
どちらも12~24時間後の予想図です。
FXFE5784は36~48時間後、FXFE577は72時間後の予想図で、内容は同じです。

天気図の例(FXFE5784)

700hPa湿数/500hPa気温予想図

(図は気象庁HP「極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/700hPa湿数、500hPa気温予想図」から抜粋)

湿数(T-TD): 気温と露点温度の差

上側の図では、700hPa等圧面上で湿数3℃以下の領域が陰影で表現されています。
湿数3℃以下の領域は雲のできやすい湿った空気です。
700hPaは上空3kmくらいの高さです。
雲が徐々に厚くなって雲底が下がったとき、3kmくらいの高さまでくると雨が降り始めます。
700hPa等圧面の湿域(陰影部分)は雨と対応がよく、雨の降り始めを考えるのに良い天気図です。
(雨が降るかどうかは雲の厚さや雲の下の湿度にもよります)
右上の図では4日9時(00UTC)には雨を降らせやすい雲が九州にかかることを読み取れます。

700hPaなど対流圏中層の空気が乾燥していると雲が発達しにくくなります。
これより下層に上昇気流があって雲ができても、それ以上に発達することを抑制して背の高い雲が出来にくいためです。
湿数が大きい領域は乾燥していて雨の降りにくい領域です。
例外:下層に相当温位の高い空気が流れ込んだり、上空に冷たい空気が流れ込むなど、不安定の度合いが強いと中層が乾燥していても構わず発達することがあります。

700hPa面の上昇流(鉛直P速度)

下側の図の陰影部分は、700hPa等圧面上の鉛直P速度が負の領域です。
鉛直P速度の単位は hPa/H で、1時間あたりの気圧の変化量です。
負の値で上昇流、正の値で下降流を示唆しています。
(700hPa面で収束や発散があった場合も鉛直P速度は正や負の値になります)
「鉛直P速度が負(陰影部分)=上昇流場」とは言い切れませんが、700hPa面では収束や発散が比較的少ないため近似的に使われているようです。
上昇気流が強い=雲が発達しやすい状況です。

上側の図の700hPaの湿数と比較してみると、湿数の小さい湿った領域では鉛直P速度も負となっていることがわかります(全体的にぼんやり見た場合)。
上昇する空気は気圧や気温が下がって湿度が上がるためです。
鉛直P速度が負なのに乾燥している領域は、上昇する前の空気がとても乾燥していたためと考えられます。

500hPaの気温

上側の図の太線は500hPa等圧面の気温です。
上空の寒気や前線を確認します。
中層(500hPaや700hPa)に暖気が流れ込むと対流が抑制されます(雲が発達しにくくなります)。
反対に寒気が流れ込むと対流が発生しやすくなります(雲が発達しやすくなります)。

北から南に出っ張った部分はだいたい寒気です(例外もありますので温度を確認してください)。
上空に寒気が入ってくると急に土砂降りになることがあります。
また、温度線が混んでいる所は上空の前線帯に対応します(温度線が密なら空気の密度差が大きい)。
(前線帯は地上から上空に繋がっていたり、上空だけに存在したりします)

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