テヒグラム(エマグラム)の読み方
ECMWF(欧州中期予報センター)のホームページで公表されているテヒグラフの読み方を紹介します。
日本ではあまり使われていないグラフですが、基本はエマグラムと変わりません。
1日2回更新されています。
テヒグラムやエマグラムは、上空の大気の状態を確認できるグラフです。
空気の乾燥度合いや温度分布などを一目で把握でき、雲が出来やすい高度や雷のなりやすさを読み取ることができます。
グラフの例
ECMWF Vertical profilesから抜粋。
©2024 European Centre for Medium-Range Weather Forecasts (ECMWF)出典:www.ecmwf.int
ライセンス:CC BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
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グラフの内容
グラフの例のように、3種類のグラフが一度に描画されます。
上の図(Tephigram)は大気の成層状態を表すテヒグラムです。
左下の図(Wind hodograph(m/s))は高度毎の風向と風速です。
右下の図(MUCAPE)は上昇気流の起こしやすさを表すグラフです。
テヒグラム
グラフの縦軸は気圧です。上ほど気圧が低い(=高度が高い)ことを表します。
等圧線: 下の方では水平に近く、上に行くほど右肩上がりの実線です。
気温(℃): 右肩上がりでT=10などの表示のある実線です。
飽和比湿線(g/kg): 45°くらいの角度で右肩上がりの点線(気温線より急角度)です。
乾燥断熱線(等温位線): 右肩下がりの実線です。
湿潤断熱線(等相当温位線): 曲がった実線です。
気温は赤線、露点は緑線、湿数は青線です(湿数は右側に分けてプロットされています)。
色の濃い実線は精度の高いHRESの予測です。
淡い線はENSの中央値です。
それぞれの色の濃淡はENSの予測値の広がりを表しています。
(濃い範囲は25~75%の範囲です。偏差値に換算すると40強~60弱に相当します)
矢羽根はHRESの各気圧面の風向・風速です(湿数のグラフに重ねられています)。
湿数(青線)が小さい(赤線と緑線が近い)高度の空気は湿った空気です。
反対に赤線と緑線が離れている高度は、乾燥していて雲ができにくい状態です。
ホドグラフ
円の外側に行くほど風が強いことを表します。
高度(気圧)に対応して色分けされています(赤は下層、青やピンクは上層)。
線が右にあると西風(西から東に流れる風)です。
用語集のホドグラフの項も参考にしてください。
MUCAPE
MUCAPE(Most Unstable CAPE)は潜在的な対流のエネルギーです。
値が大きいほど対流が起こりやすい状態です。
ENS(アンサンブル)のメンバーをCINの値に応じて3つのグループに分けて表示しています。
1. CIN < 50J/kg: 不安定性の解放に必要なエネルギーが小さいグループ
2. CIN > 200J/kg: 不安定性の解放に必要なエネルギーが大きいグループ
3. 上記2つの中間のグループ
縦軸は、対流が発生した場合のCAPE(J/kg)です。
例では200J/kgと500J/kgに目盛がついています。
小さく記載している(CAPE=0: 1)は、1つのENSメンバーのCAPEが0だったことを意味しています。
その下の1、35、13の数字は、それぞれCINが50未満のメンバー数、50~200のメンバー数、200以上のメンバー数です。
(ENSの計算結果は、Controlを含めて全部で51通りです)
青点はHRESの予測値です。
赤点はENSControlの予測値です。
箱ひげはENS各メンバーの予測値です。
CAPEの目安
1000J/kg以上で中程度の雷雨になる可能性
2000J/kg以上で激しい雷雨になる可能性