雲の高さの調べ方

十種雲形のページでは、雲を10種類に分類する方法を紹介しています。
雲を分類するには雲の高さ(雲底高度)を判別する必要があります。
目で見て高さを判別するには練習が必要ですが、練習なしで雲の高さを知る方法もあります。

全国各地の空港では航空機の安全な運航のために常時機械(シーロメーター)で雲底高度を計測し、その結果をMETARという決められた形式で情報共有しています。
METARは生活情報ではないため普通は入手できませんが、収集したMETARの内容を公表しているホームページがいくつかあります。
その中の一つ、National Weather Service(アメリカ国立気象局)のホームページでMETARの内容を調べて読み解く方法を紹介します。

METARの調べ方

アメリカ国立気象局 航空気象センター(外部サイト) を開くと、シンプルなデザインのページが表示されます。
IDs: と書かれた入力欄に空港コード(アルファベットの記号)を入れると、その空港から報告されたMETARを表示してくれます。
(上のリンクをクリックすると羽田空港(RJTT)のコードが自動で入ります)
空港コードの一覧はウィキペディア ICAO空港コードの一覧(外部サイト) でまとめてくれていますので、最寄りの空港のコードを探してください。
成田空港のMETARを調べたい時は、IDs: と書かれた入力欄に RJAA と入力して「Load data」と書かれたボタンを押してください。

「Most recent」と表示されている(はず)のプルダウンメニューをクリックすると、「past ⚪︎hours」の選択肢が現れます。
最大で96時間前までのMETARを表示できるようになっています。
その右側には、「Include TAF」「Decoded」「Tabular」の3種類のスイッチがあります。
「Include TAF」をONにして「Load data」ボタンを押すと、TAF(飛行場の天気予報)も表示されます。
「Decoded」をONにして「Load data」ボタンを押すと、METARやTAFの内容を翻訳してくれます(英語で)。
「Tabular」をONにして「Load data」ボタンを押すと、METARを表形式に変換してくれます。
(「Tabular」は他の2つとは同時に使えません)

METARの読み方(雲の種類と雲底高度)

METARから雲底高度を読み取ります。
ある日の羽田空港(RJTT)のMETARです。
RJTT 101530Z 17005KT 140V200 9999 FEW020 SCT110 BKN/// 21/17 Q1009 NOSIG RMK 1CU020 3AC110 A2981

101530Z は協定世界時で10日の15時30分(日本時間で11日00時30分)を意味しています。
注目したいのは「FEW020」「SCT110」「BKN///」と「1CU020」「3AC110」の部分です。

FEW020 は、2000フィート(約600メートル)の高さに8分の2以下の雲量で雲が出ていることを意味します。
FEWの読み方はフューです。
後半の「RMK」以下に記載されている 1CU020 と対応していて、2000フィートの雲底のCU(積雲)が空を8分の1だけ覆っていることがわかります。
(METARでは雲の量を8分割して考えます。全天の半分なら4、半分の半分なら2となり、10分割よりイメージしやすい利点があります)
SCT110 は、11000フィート(約3400メートル)の高さに8分の3〜4の雲量で雲が出ていることを意味します。
SCTの読み方はスキャターです。
後半の 3AC110 と対応していて、11000フィートの雲底のAC(高積雲)が空を8分の3覆っていると読み取れます。

BKN/// は、高さ不明の雲が8分の5〜7の雲量で出ていることを意味します。
BKNの読み方はブロークンです。
(20000フィート以上の高さの上層雲は /// で表示される事が多いです。20000フィート以上でも数字で通報している空港もあります)
8分の8の雲量(空が全て雲で覆われている)時は、OVC という表示が使われます。
OVCの読み方はオーバーキャストです。
高さ不明の場合は「RMK」の後ろに雲の種類が記載されませんが、大抵の場合は上層雲です。
OVC(雲が空を全て覆っている)の上層雲は、巻層雲と推測できます。
BKN(空に広がっているものの隙間がある)場合は、巻雲の事が多いです(全天に広がっていない巻層雲もありえます)。

【おさらい】
 雲量の記述
  OVC 雲量8(空が全て雲で覆われている)
  BKN 雲量5〜7(全天の半分より多く、隙間がある)
  SCT 雲量3〜4(全天の半分くらいまでで1/4よりは多い)
  FEW 雲量1〜2(全天の1/4以下)
  CAVOK 下層雲がなく*、視程が10km以上ある(読み方はカブオーケー)
    *細かい規定があり、空港によって高さの基準が変わります
 雲の種類の記述(RMK以降)
  1CU020 左の数字は雲量、アルファベットは雲の種類(この例は積雲)、右の数字は100フィート単位の高さ(この例は2000フィート)

気象に特化した単位変換のページでフィートをメートルに変換できます。
(1フィートは約0.3メートルです)