九州で大雪警報が発表された日の天気図と大雪の要因

2024年1月23日から24日にかけて九州地方で大雪となりました。
この日は市街地にも雪が積もり、佐賀市では24日9時に4センチの積雪が観測されました。
(参考資料 : 佐賀市の気象データ(気象庁)

下の天気図は2024年1月23日21時の500hPa高層天気図と同じ時間の地上天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使って描画しました)
2024年2月5日21時の500hPa天気図 2024年2月5日21時の地上天気図
当時500hPaのトラフが九州に接近中で、上昇気流が強まりやすい状況でした。
地上の九州付近は西高東低の気圧配置になっていて北風が吹いています。
等圧線が混んでいるため風が強かったことがわかります(強い寒気が流れ込む時は風も強まります)。

この日の対馬海峡の海面水温は15~18℃くらいでした。
比較的暖かい海の上に冷たい空気が流れ込んでいました(海面付近で0℃くらい、1500m上空で-12℃くらいの空気)。
この温度差によって雪雲が発生し、トラフの接近で上昇気流が強まって雪雲がさらに発達したと考えられます。

福岡市上空の高層観測では、23日21時に850hPaでは-11.7℃、700hPaでは-22.5℃となっています。
(上空の観測には風に流される気球が使われていますので、厳密には福岡市直上のデータではなく多少の誤差があります)
(参考資料 : 福岡市の高層観測データ(気象庁)
850hPaが-6℃以下になると標高の低い所でも雪が降り始めます。
おおよその目安として、九州では700hPaに-18℃以下の寒気が流れ込むと大雪になります。
(南岸低気圧が通過したり日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が南下してくる時など例外もあります)

佐賀市では23日21時頃から気温が0℃を下回り、22時までに1センチの積雪を観測しています。
24日も雪が降り続き、9時には4センチの積雪となりました。
23日21時から24日9時までの降水量は2.5ミリでしたので、雪水比は4センチ/2.5ミリで1.6です。
この間、地上気温は0~-1.5℃くらいで推移していました。

降水量と気温の予報を見ることで、いつ頃からどのくらいの雪が積もり始めるのか見当をつけることができます。
地上の気温が2℃以下で降水量や降水確率の高い時間帯は要注意です。
雪水比は気温が下がるほど大きくなる傾向がありますので、氷点下まで冷え込むときはもっと注意が必要です。
雪が降り始めると急に3℃くらい気温が下がることもあります。
降り始めはうっすらとしか積もらなくても、気温が下がって一気に積雪が増えることがあります。

車で峠道を走るときは平地との気温差にも注意が必要です。
標高700mの峠道なら平地より4〜7℃低く見積もっておく必要があります。
湯布院には標高700mの水分峠があります。
阿蘇や雲仙も山地ですので、標高数百〜千m以上の道があります。
九州の観光地には峠道がたくさんありますのでご注意ください。