東京都で大雪警報が発表された日の天気図と大雪の要因
2024年2月5日、東京都心で大雪となりました。
気象庁の観測によると、この日は13時にはみぞれが降り始め、14時過ぎには見通しが悪くなるほどの雪となったようです。
その後も雪は降り続き、17時には1センチの積雪、23時には8センチの積雪が観測されています。
(参考資料 : 過去の気象データ検索(気象庁))
下の天気図は2024年2月5日21時の500hPa高層天気図と同じ時間の地上天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使って描画しました)
500hPaの気圧の谷(トラフ)が関東上空にあって、その少し東側に地上の低気圧が位置しています。
低気圧が発達しやすい位置関係です。
この日、低気圧は東京都の少し南側を通過しました。
南岸低気圧と呼ばれる気圧配置で、東京都心に雪を降らせる典型的な形です。
地上天気図を見ると東京付近は低気圧の北西側に位置していたため北風となっています。
下の天気図は2024年2月5日21時の700hPa高層天気図と同じ時間の850hPa高層天気図です。
(ECMWFのオープンデータを使って描画しました)
700hPaの湿度が高い領域は雪雲や雨雲と対応していることが多く、東京都心の上空もしっかりと湿っています。
850hPaの天気図を見ると東京都心の上空は氷点下ですが、100kmほど南にある大島上空(850hPa)の気温は2℃くらいでした。
この日、大島は雨でした。
(参考資料 : 過去の気象データ検索(気象庁))
南岸低気圧は低気圧の位置が少し変わるだけで雪が降るのか雨が降るのか(雨すら降らないのか)変わりますので、天気の予測が難しい気圧配置です。
東京都心では12時はまだ地上気温が4.9℃あって雨でした。
13時になると1.9℃にまで下がり、みぞれに変わりました。
15時には1℃を切り、1時間降雪量が一番多かった20時は0.4℃で、1時間で積雪が3センチ増えました。
地上気温が2℃以上あると雪は積もりにくいですが、0℃くらいまで下がると降水量1ミリにつき1センチくらい雪が積もります(大まかな目安です)。
(降雪量/降水量を雪水比といい、1センチ/1ミリなら雪水比1、1センチ/2ミリなら雪水比0.5です。低温になる程、雪水比が大きくなる傾向があります)
19時から20時までの降水量は5ミリ、1時間降雪量は3センチでしたので、この時の雪水比は3センチ/5ミリで0.6くらいでした。
気温は0.5℃前後で推移していて、雪水比は標準的な量です。
(今回は雪水比の単位をセンチ/ミリとしました。ミリ/ミリを使う場合もあります)
降水量と気温の予報を見ることで、いつ頃からどのくらいの雪が積もり始めるのか見当をつけることができます。
気温が2℃以下で降水確率の高い時間帯は要注意です。
ただし雪が降り始めると同時に3℃くらい気温が下がることもありますので「まだ3℃以上あるから安心」というわけでもありません。
車で峠道を走るときは平地との気温差にも注意が必要です。
標高500mの峠道なら平地より3〜5℃は低く見積もっておく必要があります。